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犬と猫の口腔内腫瘍について│日々の歯磨きの際によく観察を

2024.01.10
犬の病気猫の病気

口の中にできる腫瘍は犬も猫も悪性であることが多く、犬で多い口腔内の悪性腫瘍は悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫で、猫では扁平上皮癌が多いとされています。
特に猫の扁平上皮癌は非常に進行が速く、早期発見は難しいとも言われています。

治療では外科手術で腫瘍を摘出しますが、骨や組織ごと広く削り取る必要があるほか、放射線療法や抗がん剤治療が必要なことも多いため、治療が難しい病気です。

今回は犬と猫の口腔内腫瘍について解説していきます。

■目次
1.原因|悪性が多いが犬では良性のことも
2.症状|口の中にできものができ、よだれが増えたり顔の形が変わったりする
3.診断|手術の前に細胞診や生検、CT検査を行う
4.治療|外科手術のみならず、放射線治療や抗がん剤治療が必要なことも
5.予防|早期に発見して適切な治療を

 

原因|悪性が多いが犬では良性のことも


犬も猫も、口腔内に腫瘍ができるはっきりとした原因はわかっていません。

冒頭にある通り犬も猫も悪性が多く、犬では悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫が、猫では扁平上皮癌の報告が多いものの、犬はエプリスと呼ばれる良性腫瘍もしばしば発生しています。

 

症状|口の中にできものができ、よだれが増えたり顔の形が変わったりする


歯茎や頬の内側、唇や喉など、口の中にできものができます。
歯磨きなどの際に発見する飼い主様もいますが、進行が速いため、早期発見が難しいこともあります。

腫瘍ができた場所や種類により、よだれが増える、よだれに血が混じる、口を開けられない、開けると痛そうにする、食べにくそうにしている、ものが飲み込めない、などの変化が見られます。
さらに、食べ物をうまく飲み込めないことから食欲が落ちて痩せたり、呼吸が難しくなったりすることもあります。

 

診断|手術の前に細胞診や生検、CT検査を行う


まずは口腔内を観察し、腫瘍以外の病気の可能性を調べ、腫瘍の種類を推察するために針吸引細胞診や、麻酔をかけたうえで腫瘍の一部を切り取って組織生検を行います。
悪性腫瘍の場合はリンパ節や肺など他の臓器への転移の可能性があるため、リンパ節の触診やCT検査などで腫瘍の広がりや転移の有無を確認します。

 

治療|外科手術のみならず、放射線治療や抗がん剤治療が必要なことも


基本的には手術で腫瘍を完全に切除することで根治を目指します
腫瘍が顎の骨や鼻など、周りの組織まで広がっている場合は、骨や組織ごと切除するので、顔の形が変わってしまったり、術後の食べ方に影響が出てしまったりするため、飼い主様によく説明したうえで、慎重に判断します。

腫瘍の種類によっては術後に放射線治療や抗がん剤治療を併用することもありますが、抗がん剤治療のみでは治療は難しいと考えられています。

良性(エプリス)では手術や放射線治療で切除ができれば予後は良好ですが、悪性(特に悪性黒色腫)の場合は肺に転移する可能性が高いため予後はとても悪く、それ以外の悪性腫瘍でも全身状態によっては手術など治療が行えないこともあります。

 

予防|早期に発見して適切な治療を


原因がよくわかっていないため、残念ながら予防法はありません。
治療が難しいケースも多い病気ですが、早期に発見ができれば予後が良いこともあります。
日々の歯磨きなどの際によく観察し、気になることがあればお早めにご相談ください

 

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<参考文献>
Fiani N, Verstraete FJ, Kass PH, Cox DP. Clinicopathologic characterization of odontogenic tumors and focal fibrous hyperplasia in dogs: 152 cases (1995-2005). J Am Vet Med Assoc. 2011 Feb 15;238(4):495-500.

 
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