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犬と猫の胆管結石について|無症状で進行するが、重症化し危険な状態になる

2023.10.05
犬の病気猫の病気

胆石や胆管結石はうっ滞した胆汁が過剰に濃縮され、成分が変化したものです。犬や猫では内科治療で効果を得ることは難しいため、治療には手術が必要です。

原因として肝臓や胆嚢、膵臓の炎症や感染、内分泌系の病気のほか、肥満や食事内容も影響すると言われており、予防のためには食べてはいけない食べ物もあります。

今回は、犬や猫の胆石・胆管結石について、病気の解説と食べてはいけない食べ物を紹介します。


目次
1.原因|さまざまな病気のほか、高脂肪食や肥満も
2.症状|無症状で進行するが、胆管が詰まると重症化し危険な状態に
3.診断|超音波検査で確認できる
4.治療|内科治療では効果は得られにくい。手術が必要
5.予防|食事や運動で肥満を予防!定期検診で早期発見を

原因|さまざまな病気のほか、高脂肪食や肥満も


肝臓で作られた消化液は胆嚢で濃縮され胆汁となり、必要に応じて十二指腸に排泄されます。

通常であれば途中で詰まったり滞ったりすることなく排泄されますが、以下の病気などでは胆汁のうっ滞が起こりやすくなります。

 

・胆嚢の病気(胆嚢炎、胆管肝炎、肝外胆管閉塞など)

・肝臓の病気(慢性肝炎など)

・膵臓の病気(膵炎、糖尿病)

・高脂血症

・内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)

 

高脂血症は高脂肪食のほか、肥満、運動不足、加齢などが原因で起こり得ます

また、ミニチュア・シュナウザーやシェットランド・シープドッグは、高脂血症の好発犬種です

 

症状|無症状で進行するが、胆管が詰まると重症化し危険な状態に


単独で軽症であれば多くは無症状です。また、健康診断や他の病気の検査時に超音波検査で偶然見つかるケースも多く見られます。

胆嚢炎や肝外胆管閉塞など、肝臓や胆嚢の病気がある場合は、黄疸や食欲不振、嘔吐などの症状が見られることもあります。

 

重症化して胆管が詰まったり、胆嚢に重度な炎症が起こったり、胆嚢が破裂すると、命にかかわる非常に危険な状態になります

 

診断|超音波検査で確認できる


胆石や胆管結石は超音波検査で観察することができます。

結石はレントゲン検査でも確認することができますが、大きさによっては観察できません。

 

治療|内科治療では効果は得られにくい。手術が必要


犬や猫の胆石・胆管結石は内科治療では効果が得られにくく、完全な治癒を目指す場合は外科手術で胆嚢も含めた摘出が必要です。

手術の是非は、年齢や全身状態含めリスクを十分に検討したうえで飼い主様との相談になりますが、重篤な場合は手術が唯一の治療法になることもあります。

 

軽症例では、原因となる病気がある場合はその治療と並行して、胆汁の流れをよくするお薬や抗菌剤、強肝剤などで治療をしながら、低脂肪食などの食事管理、適度な運動などで経過を見ることもあります。

 

予防|食事や運動で肥満を予防!定期検診で早期発見を


胆石や胆管結石は生活習慣とも深く関わりがあるため、脂肪分の多い食べ物を与えすぎない、肥満を防ぐ、適切な運動をするなど、健康的な食生活を行うことで防げる可能性があります。

ただし、体質などで予防をしても罹患してしまう場合はあります。

早くに発見できれば重篤になる前に介入できるため、定期的な健康診断で早期発見を目指すことが重要です。

 

猫の肝外胆管閉塞についてはこちらのページでも詳しく解説しています
猫の肝炎についてはこちらのページでも詳しく解説しています
犬の膵炎についてはこちらのページでも詳しく解説しています
猫の急性膵炎についてはこちらのページでも詳しく解説しています
膵炎についてはこちらのページでも詳しく解説しています
猫の糖尿病についてはこちらのページでも詳しく解説しています
甲状腺機能低下症についてはこちらのページでも詳しく解説しています
犬の甲状腺機能低下症についてはこちらのページでも詳しく解説しています
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)についてはこちらのページでも詳しく解説しています

 

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<参考文献>

Ward R. Obstructive cholelithiasis and cholecystitis in a keeshond. Can Vet J. 2006 Nov;47(11):1119-21. 

Aguirre AL, Center SA, Randolph JF, Yeager AE, Keegan AM, Harvey HJ, Erb HN. Gallbladder disease in Shetland Sheepdogs: 38 cases (1995-2005). J Am Vet Med Assoc. 2007 Jul 1;231(1):79-88. 

 
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