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多頭飼いで失敗しない!犬・猫のトイレ設計と配置のコツ

2025.10.31
犬の話猫の話

「最近、トイレの失敗が増えた」「この子だけなぜかトイレを使ってくれない」「あちこちにマーキングされて困っている」多頭飼育をされているご家庭で、このようなお悩みを抱える飼い主様は少なくありません。

犬も猫も、本来は「自分の安心できる場所で排泄したい」と考える動物です。
しかし、トイレの数が足りなかったり、落ち着かない場所に設置されていたりすると、ストレスを感じてトイレを我慢したり、思わぬ場所で粗相してしまったりすることがあります。さらに、こうしたストレスが原因で、膀胱炎などの健康トラブルを引き起こすケースもあります。

実はこうした問題は、「トイレの数」や「設置場所」を見直すだけで大きく改善することがあります。

そこで今回は、多頭飼育でもそれぞれの子が安心して排泄できるようにするための“トイレ設計の基本と注意点”について、わかりやすくご紹介します。

■目次

 

多頭飼育でトイレ問題が起こるのはなぜ?


犬や猫にとってトイレは、ただ排泄するだけの場所ではありません。「安心してひとりになれる、大切なプライベート空間」でもあります。
ところが、多頭飼育になると、その安心感がうまく保てなくなることがあるのです。

例えばこんな状況、思い当たりませんか?

・他の子のにおいが強く残っていて落ち着かない
・相性がよくない子が近くにいて緊張する
・トイレを使いたいときに、他の子が使っていて待たなければならない

こうした小さなストレスが積み重なると、トイレを我慢するようになり、膀胱炎や便秘などの体調不良を引き起こすことがあります。
さらに排泄がうまくできなくなることで、不安やイライラが増し、別の場所での粗相やマーキングといった問題行動につながることもあります。

 

トイレの数は「頭数+1」が基本!


多頭飼育では、トイレの数を「飼っている頭数+1個」用意するのが理想的です。
このルールを守るだけで、トイレ争いや我慢によるストレスをぐっと減らすことができます。

〈猫の場合〉

猫はとてもきれい好きで繊細な性格です。
「他の子が使った後は使いたくない」「おしっことうんちは別の場所で排泄したい」と感じる子も珍しくありません。

そのため、以下のような数のトイレを準備するのがおすすめです。

猫の頭数+1個のトイレを用意する
(例:2頭飼育 → 3個のトイレ)

〈犬の場合〉

犬は猫ほど排泄場所にこだわらないこともありますが、性格や相性、性別によってはトイレの分け方を工夫する必要があります

例えばこんな工夫が有効です。

・トイレの場所を複数設けて「行きたいときにすぐ行ける」ようにする
・オス犬同士でマーキングが多い場合は、トイレを完全に別にする・壁をつけるなどの対策をとる

特に室内で排泄をする子の場合は、トイレ環境が暮らしの快適さに直結します。個性や習慣に合わせて調整してあげましょう。

 

トイレの配置とレイアウトのコツ


トイレの「数」だけでなく「どこに置くか」も、とても重要です。落ち着いて排泄できるよう、以下のポイントを意識して配置しましょう。

〈設置場所のポイント〉

静かで落ち着ける場所に設置(玄関や通路、騒がしい場所は避ける)
食事場所や寝床からは少し離す
1カ所に集中させず、家の中に分散して置く
高齢の子には、段差のない出入りしやすいタイプを選ぶ

また、「トイレが狭くて怖い」「誰かが使っていて待たなきゃいけない」といった状況は、排泄のストレスになります。
トイレの周囲にも余裕をもたせて、安心して行ける・使える空間づくりを心がけましょう。

 

トイレを清潔に保つためにできること


トイレが汚れている、においが強い、濡れている。これらは愛犬や愛猫にとって強いストレスです。どれだけ数や配置を工夫しても、トイレが不快なままだと使ってもらえません。

〈清潔に保つポイント〉

排泄物はこまめに処理(可能なら都度、難しい場合も朝晩はチェック)
猫砂・シートは定期的に全交換
トイレ本体も週に1回程度は丸洗い
消臭剤を使う場合は、無香料か、香りのやさしいものを選ぶ(香りもストレスの原因に)

毎日の掃除は大変に思えるかもしれませんが、トイレを快適に保つことは「病気の予防」や「排泄トラブルの回避」にもつながる大切な習慣です。

 

それでもトイレの悩みが続くときは…


トイレの数や場所を見直し、清潔さにも気を配っているのに…それでも粗相が続く場合は、「体の不調」や「ストレス」が隠れている可能性があります。

〈考えられる病気の例〉

・猫:膀胱炎、尿石症、腎臓病
・犬:尿路感染、加齢による認知機能の低下、関節痛でのトイレ困難 など

▼膀胱炎についてはこちらで解説しています

▼尿石症についてはこちらで解説しています

▼腎臓病についてはこちらで解説しています

また、「環境や同居動物との関係性がストレスになっている」「構ってもらいたくて粗相する」など、行動学的な要因が背景にある場合もあります。

こうした見極めはご家庭だけでは難しいこともありますので、気になる様子があれば、早めに動物病院へご相談ください。

 

まとめ


多頭飼育の環境では、トイレの問題が犬や猫の健康と安心に大きく関わってきます。「粗相が続く」「トイレを使わない」「マーキングが止まらない」そんなトラブルの背景には、トイレの数が足りない、場所が落ち着かない、清潔に保てていない、といった環境的な要因が潜んでいることも少なくありません。

まずは、「頭数+1個」のトイレ設置と、静かで落ち着ける場所への配置を見直してみましょう。それでも改善が見られない場合には、病気やストレスが関係しているかもしれません。

当院では、病気の診療はもちろん、生活上のお悩みにも寄り添う診療を行っています。行動診療の知識をもつ獣医師が在籍しており、ストレスの原因分析や環境アドバイス、トイレトレーニングのサポートなどもご相談いただけます。
「ちょっとしたことだけど相談していいのかな?」という場合でも、遠慮なくお声かけください。

 

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