スタッフブログ

HOME > スタッフブログ > 【獣医師監修】猫の歯石除去と避妊・去勢手術は一緒にできる?判断ポイントを解説

【獣医師監修】猫の歯石除去と避妊・去勢手術は一緒にできる?判断ポイントを解説

2026.02.13
オス猫の去勢メス猫の避妊

「歯石除去も避妊手術も、どちらも全身麻酔が必要なら、1回で済ませた方が猫の負担も少なくて済むのでは?」と考える飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、全身麻酔は猫にとって少なからずリスクがあるため、1回で済むならそれに越したことはないと感じられるのも自然なことです。一方で、猫の年齢や健康状態によっては、同時に処置を行うことでかえって負担が増すこともあります。

この記事では、猫の歯石除去と避妊・去勢手術を同時に行う際の判断ポイントや注意点を、飼い主様にもわかりやすく解説します。

避妊手術・去勢手術についてはこちらでも解説しています

■目次

 

猫の歯石除去と避妊・去勢手術は一緒にできる?


結論としては、「一緒に行うことは可能」です。ただし、すべての猫にとってそれが最適とは限りません。

歯石除去も避妊・去勢手術も全身麻酔を必要とする処置であり、麻酔の回数が1回で済めばその分リスクを軽減できます。しかしながら、処置内容によっては麻酔時間が長くなり、回復への負担や術後のケアが複雑になる可能性もあるため、猫の状態に応じて「一緒に行うかどうか」を慎重に判断する必要があります。

当院で行う歯石除去についてはこちらで解説しています

 

なぜ歯石除去には全身麻酔が必要なの?


猫にとって安全で、かつ意味のある歯石除去を行うためには、全身麻酔が欠かせません。その理由は大きく分けて2つあります。

① 安全の確保
歯石除去には「超音波スケーラー」という先端が細かく振動する器具を使用します。もし猫が動いてしまうと、歯ぐきや舌を傷つけてしまう可能性があります。また、口腔内を洗浄するための水分を誤って飲み込んでしまい、誤嚥事故につながるリスクもあるため、完全に動きを止める麻酔が必要です。

② 歯周病予防としての効果を高めるため
猫の歯の裏側や歯周ポケットの奥までしっかり処置するには、完全に動かない状態が必要です。無麻酔では奥まで器具を入れることができず、歯の表面の汚れだけを軽く取るにとどまってしまいます。これでは、見た目だけがきれいになっても、歯周病の原因となる細菌が残ったままになってしまいます。

▼麻酔時の獣医師のチェックポイントについてはこちらで解説しています

 

一緒に行うメリットとデメリット


一緒に処置を行うことで得られるメリットと、注意したいデメリットをあらかじめ理解しておきましょう。

〈メリット〉

・麻酔の回数が1回で済む
・通院の回数や費用を抑えられる
・術後の回復期間をまとめて取れる

〈デメリット〉

・麻酔時間が長くなり、身体への負担が大きくなる可能性がある
・処置の内容によっては術後の痛みが重なる(口の痛み+お腹の痛み)
・術後管理が複雑になることもある(食事制限・薬の使い分けなど)

これらを踏まえたうえで、猫の年齢、基礎疾患、術後の管理能力などを考慮して決定する必要があります。

 

一緒に行うことが難しいケース


以下のような場合は、一度に複数の処置を行うことが難しい、あるいは避けた方が良いとされています。

高齢の猫
心臓・腎臓・肝臓に持病がある猫
過去に麻酔でトラブルがあった猫
歯周病が進行していて処置が長時間に及ぶと予想される猫

当院では、術前に血液検査や必要に応じてレントゲン・超音波検査などを行い、麻酔のリスクをできる限り事前に把握します。その上で、一緒に行うべきか、それとも分けるべきかを丁寧にご説明し、飼い主様と一緒に判断しています。

 

歯石を放置するとどうなる?


「食事もとれているし、まだ様子見でいいかな…」と思っているうちに、歯石はどんどん厚くなり、次のようなトラブルを引き起こします。

歯肉炎や歯周病の悪化
歯根(歯の根元)に膿がたまり、頬が腫れる
痛みによって食欲が低下する
慢性的な痛みや不快感によってストレスが増える

また、細菌が血流に乗って全身に回ることで、心臓や腎臓に悪影響を及ぼすリスクも指摘されています。

定期的な歯石除去は、単に「口をきれいにする」だけでなく、全身の健康を守るためにも重要なのです。

▼猫の歯周病についてはこちらで解説しています

 

歯石を増やさないためにできること


歯石の最大の予防策は「日々のケア」です。以下のような取り組みをできる範囲で取り入れていきましょう。

子猫のうちから、ガーゼや歯ブラシで口周りに触れる習慣を
歯磨きが難しい子には、歯磨きシートや口腔ケアガムなどを活用
無理をせず、怖がる場合は回数や方法を調整
定期的に動物病院で口の中をチェックしてもらう

なお、すでに歯石が目立つ場合は、無理に自宅で取ろうとせず、動物病院での処置をご検討ください。

▼猫の歯磨きのコツについてはこちらで解説しています

 

まとめ


歯石除去と避妊・去勢手術は、どちらも猫の健康に大きく関わる重要な処置です。たしかに一度で済ませることには多くの利点がありますが、それが必ずしも「すべての猫にとって最良」とは限りません。

その子の体調や年齢、麻酔への耐性などを総合的に評価したうえで、タイミングや方法を決めることが大切です。

当院では、事前に丁寧な検査と説明を行い、飼い主様と一緒にその子にとって一番安全な選択を考えていきます。「うちの子は同時に受けられるの?」「どちらを優先した方がいい?」など、少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

■関連する記事はこちらです

 

光が丘動物病院グループ
東京都練馬区に本院を置き、東京都内、埼玉県で4つの動物病院を運営しています
お問い合わせはこちら

■分院名をクリックすると各院のページに遷移します
練馬本院(東京都練馬区)
川口グリーンクリニック(埼玉県川口市)
とくまるクリニック(東京都板橋区)
月島クリニック(東京都中央区)

最終更新:2026年2月

 
TOPへ戻る