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進行が早く早急な治療が必要│猫の急性腎障害について

2023.01.16
猫の病気

急性腎障害とは、何らかの原因によって起こる急性の腎障害のことです。

腎臓は老廃物の排泄のほか、血圧の調節や造血ホルモンの分泌など、重要な働きをしています。急性腎障害ではこれらの機能が正常に働かなくなり、身体中にさまざまな不調をもたらします。

進行が早く、あっという間に亡くなってしまう猫も少なくありません。

早急に治療する必要がありますので、症状が見られた猫はすぐに受診しましょう。



原因|腎臓自体に障害がある場合と、腎臓の前後の過程に障害がある場合がある


急性腎障害はその原因がどこで起きているかによって腎前性腎性腎後性に分けられます。

・腎前性:腎臓に十分量の血液が入らないことが原因。脱水、出血、ショック、心臓病など。

・腎 性:腎臓の障害が原因。毒物(エチレングリコール、ユリ科植物など)や薬物(非ステロイド系抗炎症薬など)、感染症(レプトスピラなど)、腎炎、高体温、低体温、火傷など。

・腎後性:尿が出なくなることが原因。尿道結石や膀胱炎、前立腺肥大など。

※腎前性や腎後性の急性腎障害は慢性腎臓病の原因にもなる。

猫に多い尿道結石膀胱炎では尿が出なくなることがありますが、対応が遅れると腎後性の急性腎障害が発生してしまうため、注意が必要です。

 

症状|突然の元気の消失、食欲の低下。尿が出なくなることも


急激に元気の消失食欲の低下が起こり、嘔吐や意識障害などを起こします。

尿量が減り、全く出なくなることもあります。

進行して尿毒症になると、けいれんや意識障害などを引き起こしま

急性腎障害は進行の早い病気です

様子を見ていると手遅れになりかねません。早急に受診しましょう。

 

診断|血液検査、尿検査、画像診断など


血液検査で高窒素血症(BUN、クレアチニンの上昇)を確認したうえで、急性腎障害の原因を調べます。

尿検査やレントゲン検査、超音波検査は、障害のある部位の特定に役立ちます。

 

治療|入院下での集中治療


急性腎障害は短期間で命に関わる怖い病気です。

基本的には入院での集中治療が必要で、原因治療を行いながら、輸液療法により脱水や電解質の補正、症状に対する対症療法を行い、経過を見ます。

腎後性などで尿が出ない場合は、尿道カテーテルを留置し、利尿剤などで排尿を促す治療を行うこともあります。

早急に適切に治療を行えば腎機能が回復することもありますが、腎機能が回復できなかった場合は慢性腎臓病に移行します

このため、たとえ元気になったとしても経過を追っていく必要があります

 

予防|尿が出なくなったら速やかに受診


尿路結石や膀胱炎の予防は、急性腎障害の予防につながります。

なるべく水分を取らせ、適度に運動をさせ、ストレスを減らすなど、健康的な食生活を心がけましょう

また、尿が出ない状態は急性腎障害の症状であるだけでなく、原因でもあるため、異常が見られたらすぐに受診しましょう。

 

■尿路結石症についてはこちらの記事でも解説しています

■膀胱炎についてはこちらの記事でも解説しています

 

当院では2022年11月1日から2023年2月28日まで猫ちゃんの健康診断・定期検査キャンペーンを開催中です。猫の急性腎障害も検査で早期発見ができる可能性がありますので、この機会に健康診断・定期検査を受診してはいかがでしょうか。

 

■猫ちゃんの健康診断・定期検査キャンペーンについての詳細はこちら

 

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<参考文献>

原田佳代子. 5.急性腎障害. In: 犬と猫の腎臓病診療ハンドブック. 上地正実 監修. 2021 : pp.90-103. 緑書房.

International Renal Interest Society (IRIS). IRIS Kidney (iris-kidney.com)

 
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