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うっかり食べてはいけない物を食べてしまった…そんな時はすぐに来院を│犬と猫の消化管閉塞について

2023.03.16
犬の病気猫の病気

消化管閉塞とは、消化管が詰まって通過障害を起こした状態です。
犬や猫で多いのは腸閉塞で、誤飲誤食をした異物が原因になるケースがほとんどです。
異物の誤飲誤食は犬や猫で多く見られるトラブルですが、対応が遅れると命に関わる危険もあります。
異物の誤飲誤食を含め、嘔吐が続く場合など消化管閉塞が疑われる場合は、早急に受診しましょう。



原因|異物の誤飲誤食や腫瘍、ヘルニアなど


最も多いのは異物の誤飲誤食です。
犬は食べ物を丸呑みする性質があるため、ボールなどのおもちゃを誤って飲み込んでしまうことがあります。
また、梅干しの種や桃といった果物の種、あるいはなども、閉塞の原因になります。

猫が大きなものを丸呑みすることはあまりありませんが、紐状のおもちゃ縫い針グルーミングで飲み込んだ毛が絡まって塊になり、消化管を詰まらせてしまうことがあります。

異物のほかには腫瘍ヘルニア腸重積腸捻転なども原因になります。

異物の誤飲誤食については、こちらのブログ記事でも紹介していますので、合わせてご覧ください。

 

症状|急性の嘔吐や吐出、腹痛なども


消化管閉塞は、閉塞した部位やその程度によって症状の出方が異なりますが、基本的には嘔吐や吐出、下痢などの消化器症状を示します

食道が閉塞した場合は、食べた直後に食べたものをそのまま吐き出します(吐出)。
胃の出口や腸の閉塞では、食べてしばらく経ってから、少し消化されたものを吐き出します(嘔吐)。下痢が見られることもあります。

食欲がない場合もあり、さらに激しい腹痛やショック症状を示すこともあります。

 

診断|画像診断で異物の存在や閉塞部位を探る


嘔吐や下痢、食欲不振などで来院されるケースが多いため、まずは問診で異物の誤飲誤食の可能性がないかを確認します。

続いて、レントゲン検査や超音波検査などで、消化管の詰まりがないか、異物がないかを確認します。レントゲンには写りにくい異物もあるため、造影剤を使用する場合もあります。

全身の状態によっては血液検査など、他の検査を追加します。

 

治療|外科手術で閉塞の原因を除去


基本的には外科手術で閉塞の原因を取り除きます。

食道内に異物が詰まっている場合は、内視鏡で取れる場合は取り、難しい場合は胃まで押し込んでから外科手術で摘出します。
腸内に異物が詰まっている場合は、外科手術で異物を摘出します。腸の状態によっては、詰まっている部分の腸ごと摘出することもあります。

脱水やショック症状に陥っている場合は、まずは輸液療法などで状態を安定させてから手術に進みます。

 

予防|異物の誤飲誤食を防ぐ、食べてしまったらすぐに受診を


原因の多くは異物の誤飲誤食なので、これを予防することが本病の予防につながります。

また、胃の中の異物は催吐処置や内視鏡で除去できることもあるため、異物の誤飲誤食があった場合は、胃を通過する前に処置できるよう、早急に受診しましょう

原因がよくわからなくても、嘔吐や下痢が続く場合は閉塞している可能性があるため、できるだけ早くに来院してください。

 

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<参考文献>

Evans KL, Smeak DD, Biller DS. Gastrointestinal linear foreign bodies in 32 days – a retrospective evaluation and feline comparison. JAAHA. 1994 ; 30 (5) : 445-450.

Cristina Di Palma, Maria Pia Pasolini, Luigi Navas, Andrea Campanile, Francesco Lamagna, Gerardo Fatone, Fabiana Micieli, Ciro Esposito, Daniela Donnarumma, Valeria Uccello, Barbara Lamagna. Endoscopic and Surgical Removal of Gastrointestinal Foreign Bodies in Dogs: An Analysis of 72 Cases. Animals (Basel). 2022 May 27;12(11):1376.

G Hayes. Gastrointestinal foreign bodies in dogs and cats: a retrospective study of 208 cases. J Small Anim Pract. 2009 Nov;50(11):576-83.

 
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