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どんな病気か意外と知られていない?│フィラリア症について

2023.03.02
犬の病気

毎年春になると、犬の飼い主さまには狂犬病予防接種とフィラリア症予防のご案内をさせていただいています。

幸いなことにしっかり予防をしてくださる飼い主さんが多いのですが、それがどんな病気で、なぜ予防が必要なのかについては、あまり知らないという方もいらっしゃいます。

そこで今回は、犬のフィラリア症とはどんな病気かをお話しします。


フィラリアは蚊の吸血で感染し犬の体で成長する寄生虫


フィラリアは蚊の吸血を介して犬から犬に(まれですが猫にも)感染する寄生虫です

成虫が白くて細い糸状の見た目をしているため、犬糸状虫とも呼ばれています。

蚊の吸血時に体内に入ってくるフィラリアはL3と言われる幼虫ですが、犬の体内で徐々に成長し、半年ほどで成虫になります。

成虫は肺動脈に寄生してミクロフィラリア(フィラリアの赤ちゃん)を産み、これが蚊の吸血時に蚊に感染し、蚊の体内でL3まで成長して吸血時に他の犬を感染させます。

フィラリアの成虫は生きている間、毎日数多くのミクロフィラリアを産み、その数を爆発的に増やしていきます。

 

初期は無症状ながら常に死と隣り合わせとなる病気


感染初期のフィラリアは小さくて数も少ないため、ほとんどの犬ではしばらくは無症状です。

しかし成長してその数を増やすと、肺動脈や心臓に寄生した成虫が心臓の動きを弱らせたり、三尖弁閉鎖不全症や肺高血圧症を起こします

目に見える症状は咳が出る呼吸が荒くなる舌が青くなる動こうとしなくなるなどで、痩せて食欲がなくなることもあります。

突然成虫が血管に詰まり危険な状態に陥ることもあり、感染犬は常に死と隣り合わせの状況にいます

 

治療は難しくリスクが大きいため予防が重要


フィラリア症の治療法にはいくつか選択肢がありますが、どれもリスクがあり、感染前の健康な状態に戻すのは難しいと考えられています

・外科手術:専用の器具を用いて肺動脈中のフィラリア成虫を摘出します。犬への負担が大きいため、強い症状が出ていて、かつ体力がある犬に限定されます。

・予防薬の長期投与:予防薬を長期間投与して幼虫を駆除し続け、成虫の寿命が尽きるのを待ちます。ミクロフィラリアが体内にいる犬に予防薬を投与すると、重篤なアナフィラキシーショックを起こすことがあるため、ステロイドなどを併用しながら慎重に行います。

治療には長期間を要し、その間中、フィラリアが血管に詰まるリスクが常に存在し続けます。

また、死亡したフィラリア成虫やその欠片が肺病変を起こしたり血管を詰まらせる可能性もあります。

 

・対症療法:咳や心臓・血管の異常に対して、症状の軽減を期待して、ステロイドや利尿薬などを投与します。

このようにフィラリア症は治療が難しい病気であるため、犬では必須とされるほど予防が重要です。

予防については次の記事にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。

 

■予防編の記事はこちら

 

当院では3月1日~6月30日の期間でフィラリアキャンペーンを実施中です。

この機会に当院でフィラリア予防を行い、大切な愛犬を病気から守りましょう。

 

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<参考文献>

Marco Genchi, Alice Vismarra, Chiara Lucchetti, Antonio Viglietti, Serena Crosara, Giacomo Gnudi, Cecilia Quintavalla, Roland Schaper, Laura Kramer. Efficacy of imidacloprid 10%/moxidectin 2.5% spot on (Advocate®, Advantage Multi®) and doxycycline for the treatment of natural Dirofilaria immitis infections in dogs. Vet Parasitol. 2019 Sep;273:11-16.

Sandra Noack, John Harrington, Douglas S Carithers, Ronald Kaminsky, Paul M Selzer. Heartworm disease – Overview, intervention, and industry perspective. Int J Parasitol Drugs Drug Resist. 2021 Aug;16:65-89.

American Heartworm Society. Current Canine Guidelines for the Prevention, Diagnosis, and Management of Heartworm(Dirofilaria immitis) Infection in Dogs. https://www.heartwormsociety.org/images/pdf/2018-AHS-Canine-Guidelines.pdf

 
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