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犬と猫の脊髄梗塞について│1ヶ月以上症状が続いた場合は、麻痺が生涯残ることも

2023.05.12
犬の病気猫の病気

脊髄梗塞とは、脊髄に血液を送る血管が詰まる病気です。
血管が詰まることで脊髄の神経が正常に機能しなくなり、犬や猫で、麻痺や四肢のふらつきなどの症状が急に現れます。
椎間板ヘルニアとよく似た症状が見られますが、どちらの病気であっても治療が遅れると麻痺が残ってしまいます。
犬や猫に脊髄梗塞が疑われる症状が見られた場合は、早急に受診してください。

 

原因|線維軟骨塞栓症や血栓、寄生虫や腫瘍など


はっきりとした原因はわかっていませんが、線維軟骨(椎間板)に似た物質が血管内に入りこみ、血管を詰まらせてしまうことで発症すると考えられています(線維軟骨塞栓症)
ただし、どのようにして詰まってしまうのかはわかっていません。

ほかにも、血栓や寄生虫の迷入、脊椎などの腫瘍が原因になることもあるようです。

どの犬種でも起こりますが、犬では以下の犬種に多いとされています。

◆ミニチュア・シュナウザー
◆シェットランド・シープドック
◆ヨークシャー・テリア
◆ラブラドール・レトリーバー
◆ミニチュア・ダックスフント
◆ジャーマン・シェパードなど

また、猫でも起こることがあります。
年齢に関係なく、若くても発症します。

 

症状|突然発症する麻痺やふらつき


脊髄梗塞は、何の前触れもなく突然発症します
梗塞の起きた部位によりますが、片側ないし両側の、前肢のみ、後肢のみ、またはその両方で麻痺が起こり、歩き方がふらついたり、立ち上がれなくなったりします

また、排尿障害や排便障害が見られる場合もあります。

痛みはない場合が多く、発症から48時間を過ぎると症状がほとんど変わらないと言われています。

 

診断|神経学的検査やMRIによる画像診断


脳や脊髄の状態を正確に確認するために、MRI検査が必要です。
脊髄梗塞は、症状が椎間板ヘルニアなど他の脊髄疾患とよく似ているため、症状のみでは診断できません。 

 

治療|内科治療とリハビリテーション


血管の詰まりは目視ではわからないほど細かいため、外科的な治療はできません。
基本的には安静にし、ステロイドなどで炎症を抑えながら、リハビリテーションにより筋肉の衰えを防ぎます

ただし、1ヶ月以上症状が続いた場合は、麻痺が生涯残ると考えられています

 

予防|麻痺が見られたら早急に受診を


原因がわかっていないため予防は難しいでしょう。

椎間板ヘルニアと同様に早期に治療を始めることが重要なので、疑われる症状が見られたら早急に受診しましょう。

脊髄梗塞はこちらのページでも解説しています

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<参考文献>
L Cauzinille, J N Kornegay. Fibrocartilaginous embolism of the spinal cord in dogs: review of 36 histologically confirmed cases and retrospective study of 26 suspected cases. J Vet Intern Med. 1996 Jul-Aug;10(4):241-5.
Yuya Nakamoto, Tsuyoshi Ozawa, Kengo Katakabe, Koichi Nishiya, Nobuhiro Yasuda, Tadahisa Mashita, Yutaka Morita, Munekazu Nakaichi. Fibrocartilaginous embolism of the spinal cord diagnosed by characteristic clinical findings and magnetic resonance imaging in 26 dogs. J Vet Med Sci. 2009 Feb;71(2):171-6.

 
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