犬猫の骨盤骨折は、ほとんどが落下や交通事故によるものです。
骨折自体は手術をしなくても癒合(骨折した骨がくっつくこと)しますが、骨盤が変形したまま癒合すると、歩行障害や便秘などの後遺症が残ります。
癒合後に手術で骨盤の形を戻すのは難しく、生涯、後遺症に悩まされることも。
犬猫に骨盤骨折が疑われる状況や症状がある場合は、あまり様子を見ず、早めに受診しましょう。
目次
1.原因|落下や交通事故など、ほとんどは外傷性
2.症状|お尻を下げる、ふらつくなど、腰部椎間板ヘルニアと似た症状
3.診断|身体検査とレントゲン検査で脱臼を確認
4.治療|手術で骨盤を正しい位置に固定する
5.予防|交通事故や落下など事故に注意する
犬や猫の骨盤骨折の原因は、ほとんどが落下や交通事故、ものに強く挟まった、人間に踏まれたなどです。
飼い主様の腕やベッド・ソファからの落下は、犬や猫にとってかなりの高さからの落下になるため、打ちどころや高さにもよりますが、小型犬や猫では骨折をするくらいの衝撃になる可能性があります。
また、トイ・プードルなど他の犬種よりも骨折の発生が多いトイ犬種や、1歳未満の幼若な犬猫、骨やホルモンの病気で骨折しやすい犬猫などでは、少しの力でも折れてしまうこともあります。
症状は骨盤や内臓の損傷具合によりさまざまです。
骨折のみで内臓にダメージが及んでいない場合は、後ろ足のふらつきや、お尻がいつもより下がっている、尻尾を上げないなど、腰部椎間板ヘルニアに似た症状が見られます。
また、骨折部近くに腫れやうっ血が見られることもあります。
内臓に影響が及んでいる場合は、膀胱や尿道が圧迫されれば排尿障害、消化管が圧迫されれば排便障害などが起こります。
また、骨盤近くにある坐骨神経がダメージを受けると、後ろ足の麻痺などの後遺症が残ることもあります。
ときに大量出血してショックを起こす危険なケースもあります。
レントゲン検査で骨盤の状態を確認します。
交通事故や落下などの場合、全身に損傷が及んでいないかを血液検査やCTなどで確認する必要があるケースも多くあります。
通常、折れた部分から新しい骨が作られ、時間とともに骨同士が癒合しますが、骨盤の形状が崩れたまま癒合すると、排尿障害や排便障害などの後遺症が残ってしまいます。
このため、プレートなどで骨盤を本来の正しい形に固定する必要があります。
なかには、痛み止めを処方して運動制限をしながら自然に癒合するのを待つことで治る、ごく軽度な場合もあります。
原因のほとんどは不慮の事故であるため、これらを防ぐことが重要です。
高い段差にはスロープをつける、抱っこ中には落とさないようにする、猫の場合は室内飼いにする、などを行い予防しましょう。
また、歩き方がおかしいなど異常が見られた場合、様子を見ているうちに不自然な形で癒合してしまい、後遺症に悩まされることもあります。
少しの変化でも見逃さず、手遅れになる前に受診しましょう。
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