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犬と猫の膀胱結石について|尿が出なくなると大変危険

2023.08.09
犬の病気猫の病気

犬や猫の尿がキラキラ光っている、トイレに行く回数が多い、尿が出ていない、出すときに痛そう、尿が赤い、このような様子が見られたらそれは膀胱結石かもしれません。

膀胱結石は犬や猫では比較的多い病気で、手術が必要になることもあり、万が一、結石が尿道に詰まって尿が出なくなると大変危険です。

今回は膀胱結石の原因や症状、診断、治療、予防について解説していきます。



目次
1.原因|食事や飲水量、ストレス、膀胱炎など様々
2.症状|頻尿、血尿、排尿痛、尿閉など
3.診断|尿検査と画像診断
4.治療|食事療法や投薬、大きさによっては手術も
5.予防|日常的に尿の管理を! 食事にも注意!

原因|食事や飲水量、ストレス、膀胱炎など様々


結石には様々な種類がありますが、特に多いのはアルカリ性の尿で作られるストルバイトと、酸性の尿で作られるシュウ酸カルシウムです。

 

尿がアルカリ性になるか酸性になるかは食事に影響されます。また、カルシウムやシュウ酸、マグネシウムなどミネラルのとりすぎも結石の原因になります

 

犬の尿は健康であればやや酸性寄りですが、細菌性膀胱炎のときには尿がアルカリ性に傾きストルバイト結石が発生します。一方でシュウ酸カルシウム結石は、尿がより酸性に傾くと発生します。

 

結石は、小さな結晶が集合して大きくなったものなので、たくさん水を飲みたくさん尿をすれば、結晶の段階で尿とともに体外に出ます。

反対に、飲水量が少なく、尿が濃縮されやすくなると、結石ができやすくなります

このため習性的にあまり水を飲まない猫や、飲水量が減る冬には、膀胱結石の発生が多くなります

 

また、体質によってなりやすい犬や猫もいて、特に犬ではシー・ズー、ミニチュア・シュナウザー、ウェルシュ・コーギーなどに多く見られます。

 

症状|頻尿、血尿、排尿痛、尿閉など


膀胱結石が内側から膀胱壁を傷つけ、出血すると、尿がピンク色になります(血尿)

尿の回数が増え(頻尿)、膀胱炎を起こすと尿の異臭などが見られます

さらに、尿道に結石が詰まると尿が出なくなります(尿閉)

尿閉は急性腎障害や尿毒症につながる非常に危険な状態です。一刻も早く、受診するようにしましょう。

 

猫の急性腎障害についての記事はこちらから

尿毒症についての記事はこちらから

 

診断|尿検査と画像診断


尿検査で尿のpH(水溶液の酸性/アルカリ性の強さを示す尺度)や細菌感染の有無、尿中の結晶などを調べます。

加えて、超音波検査やレントゲン検査、造影レントゲン検査で膀胱内の結石を確認します。

 

治療|食事療法や投薬、大きさによっては手術も


基本は食事療法で、必要に応じて投薬も行います。

与える食事や薬は、結石の種類や症状によって異なります。

 

ストルバイト結石は食事療法や投薬によって小さくなることもありますが、シュウ酸カルシウム結石はほとんど治療に反応しません。

 

手術では膀胱を切開し、外科的に膀胱内の結石を摘出します。

再発も多いため、ほとんどの場合、術後の経過観察と食事療法が必要です。

 

なお、結石が尿道に詰まって尿閉を起こしている場合は、可能であれば先に結石を膀胱内に戻します。

 

当院でも結石の摘出手術を行っていますので、膀胱結石の手術についてのご相談がある場合は、当院までご連絡ください。

 

膀胱切開術についてはこちらのページでも詳しく解説しています

※手術中の画像が掲載されておりますので、ご注意ください

 

予防|日常的に尿の管理を! 食事にも注意!


日ごろから尿をチェックして、早期発見に努めましょう

また、ミネラルを豊富に含む硬水のミネラルウォーターや、シュウ酸を多く含むほうれん草など葉物野菜は、尿石症の原因になることもありますので、過剰に与えないようにしましょう

猫では食事にウェットフードを混ぜるなど、水を積極的に飲ませる工夫をすると良いでしょう。

少しでも気になる症状が見られたら当院までご相談ください。

 

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<参考文献>

Houston DM, Moore AE, Favrin MG, Hoff B. Canine urolithiasis: a look at over 16 000 urolith submissions to the Canadian Veterinary Urolith Centre from February 1998 to April 2003. Can Vet J. 2004 Mar;45(3):225-30.

Syme HM. Stones in cats and dogs: What can be learnt from them? Arab J Urol. 2012 Sep;10(3):230-9. 

 
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