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犬と猫の脛骨粗面剥離骨折について|1歳以下の犬や猫は骨が未熟なため要注意!

2023.08.04
犬の病気猫の病気

脛骨(けいこつ)はスネにある2本の骨のうち、太い方の骨で、膝蓋骨(しつがいこつ)のすぐ下にあり、靭帯とつながってザラザラしている部分を脛骨粗面と言います。

 

脛骨粗面剥離骨折は、運動や着地時など強い衝撃が加わったときに靭帯に引っ張られて脛骨粗面が剥がれてしまうもので、特に成長期の犬や猫で多く発生します。

脛骨粗面剥離骨折の犬や猫の治療では、基本的に手術が必要です。

手術ではワイヤーなどで剥離した骨を固定します。


目次
1.原因|成長期のまだ弱い骨で起こりやすい
2.症状|後ろ足を上げたまま3本足で歩く、痛がる、腫れる
3.診断|レントゲン検査で骨折を確認
4.治療|基本的には外科手術が必要
5.予防|特に成長期は高いところからのジャンプは避ける

原因|成長期のまだ弱い骨で起こりやすい


1歳以下の犬や猫の骨はまだ成長過程にあり、骨の両端には成長板と呼ばれる軟骨があります。

成長板は骨を成長させる役割がありますが、衝撃に弱く、骨折しやすい特徴があります。

脛骨粗面は成長板の近くにあるため、成長期の犬や猫では骨折しやすい部位です。

このため、脛骨粗面剥離骨折は1歳以下(大型犬では1.5歳以下)の成長期の犬や猫に多く発生します

 

なお、成長期でなくても、落下や交通事故で強い衝撃を受けた際に発生することがあります

 

症状|後ろ足を上げたまま3本足で歩く、痛がる、腫れる


ジャンプなどの着地後や運動時に突然発生することが多く、急に後ろ足を痛がり、足先を内側に曲げ、体重をかけないように地面に足をつけず上げたままにします

また、程度によりますが、骨折した膝の周辺が腫れ、熱をもつようになります。

 

診断|レントゲン検査で骨折を確認


身体検査や状況から骨折を疑う場合は、レントゲン検査で骨折部位と程度を確認します。

レントゲンでは脛骨から離れた脛骨粗面を確認できます。

ときに骨折直後には確認が難しい場合もあり、時間をおいて再度レントゲンを撮影する必要があるケースもあります。

 

治療|基本的には外科手術が必要


剥離した脛骨粗面には靭帯が付着しているため、自然と元の位置で癒合するのは難しく、外科手術で剥離した骨を元の位置に戻し、固定する必要があります

 

他にも外固定による治療法もありますが、子犬や子猫の時期に多い怪我のため、家に来てすぐに手術になることもあり、長期の安静が必要な外固定は、活発な若い犬や猫では非常に困難で、かつ無理に安静にさせようとすると大きなストレスになることがあります。

 

また、成長板付近の骨は、骨折したままだと骨の成長に影響が出てしまい、成長後にマイナスの影響が出てしまうこともあります。

 

そのため、手術を行いしっかり治療してあげることが大切です。

 

予防|特に成長期は高いところからのジャンプは避ける


骨がまだ完全にできていない1歳(大型犬は1.5歳)くらいまでの犬や猫は骨折しやすいので、高いところからの着地などで骨に強い衝撃を与えないよう注意しましょう

脛骨粗面剥離骨折だけでなく、橈尺骨骨折も、階段の上り下りやジャンプ、飼い主さんの抱っこから飛び降りるなどで発生することがあります。

 

交通事故や落下事故も骨折の原因になりますので、犬のお散歩時は注意してください。猫の場合は室内飼いを徹底することで、交通事故を予防できるでしょう。

 

橈尺骨骨折についてはこちらのページで詳しく解説しています

脛骨粗面剥離骨折についてはこちらのページで詳しく解説しています

 

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<参考文献>

Verpaalen VD, Lewis DD. Use of a hybrid external skeletal fixator construct for managing tibial tuberosity avulsion fractures in three dogs. J Am Vet Med Assoc. 2021 May 15;258(10):1098-1108.

von Pfeil DJ, Decamp CE, Ritter M, Probst CW, Dejardin LM, Priddy N 2nd, Hayashi K, Johnston SA. Minimally displaced tibial tuberosity avulsion fracture in nine skeletally immature large breed dogs. Vet Comp Orthop Traumatol. 2012;25(6):524-31. 

 
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