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犬と猫の橈尺骨骨折について│特に小型犬は家庭内の事故に注意!

2023.06.23
犬の病気猫の病気

橈尺骨(とうしゃっこつ)とは、前足の肘から手首の間にある前腕部の2本の骨(橈骨・尺骨)のことで、この部分の骨折を橈尺骨骨折と言います。
橈尺骨骨折は犬や猫の骨折の中でも発生が多く、特にこの部分の骨が細い小型犬や超小型犬でよく見られます。
犬も猫も、落下事故や交通事故のほか、少しの段差からの着地など、日常生活でも突然発生することがあるため、注意が必要です。



目次
1.原因|小型犬・超小型犬は日常生活にも要注意! 2.症状|前足を地面につけない、触ると痛がる、腫れる。 3.診断|レントゲン検査で確認 4.治療|外科手術での固定。術後の安静が絶対条件 5.予防|抱っこから下ろす高さや小さい段差に注意

原因|小型犬・超小型犬は日常生活にも要注意!


骨折は骨に物理的な強い負荷がかかった時に発生するもので、高所からの落下交通事故ドアに腕を挟むなどの事故が原因で起こります。
特にトイ・プードルやミニチュア・ピンシャー、ポメラニアン、チワワ、イタリアン・グレーハウンドといった小型犬や超小型犬は前足の骨が細いため、ジャンプや段差を降りた時の着地の衝撃などでも骨折が起こることがあります

ほか、上皮小体機能亢進症など骨が脆くなる病気でも骨折は発生しやすくなります

上皮小体機能亢進症についてはこちらのページでも解説しています

 

症状|前足を地面につけない、触ると痛がる、腫れる。


折れた側の前足を地面につけなくなり、痛みがあるため触ると嫌がったり、その足が腫れたりします。

折れているかどうか確認するために足に触ったり伸ばそうとすると、嫌がって暴れて状態がさらに悪化したり、普段は噛まない犬や猫から噛み付かれることもあります
あまり患部に触らず、ケージに入れるか抱っこするなど、安静にしてご来院ください

 

診断|レントゲン検査で確認


身体検査で骨折が疑われた場合は、レントゲン検査で診断するのが一般的です。
ただし、骨が粉々に砕けてしまう粉砕骨折や、骨の変形などがある場合にはCT検査で詳細に確認します。

どの骨のどの部分がどのように折れているのかを確認し、治療プランを考えます。

 

治療|外科手術での固定。術後の安静が絶対条件


橈尺骨骨折では、ほとんどの症例で手術が適用されます
手術では、骨を直接プレートやピン、ワイヤーなどで固定する内固定法を行います。

包帯による外固定は、安静にするのが難しい犬や猫では治療が難しく、癒合不全などの合併症の発生が多いため、応急処置や手術前の仮固定としてのみ行っています。

手術後にすぐに歩けるようになる犬や猫もいますが、回復するまでは厳しい運動制限が必要です
特に小型犬や超小型犬では再骨折のリスクが高いため、くれぐれも獣医師の指導のもと、厳格な運動制限をするようにしてください

 

予防|抱っこから下ろす高さや小さい段差に注意


高いところからの落下や交通事故、ドアに挟むなど、骨折の原因となるような事故は避けるとともに、特に橈尺骨骨折を起こしやすい小型犬や超小型犬では小さい段差であってもジャンプで着地しないように、生活環境を整えましょう

段差には登りやすいようにスロープや小さい段差の階段をつける抱っこから下ろす時にはきちんと足が地面についた状態で手を離すなど、生活面でも注意しましょう。

橈尺骨骨折についてはこちらのページでも解説しています

 

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<参考文献>

J M Johnson, A L Johnson, J A Eurell. Histological appearance of naturally occurring canine physeal fractures. Vet Surg. 1994 Mar-Apr;23(2):81-6.

 
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