「なんだか顔色がいつもと違う気がする」「目や歯ぐきが少し黄色っぽい…?」そんな小さな違和感を覚えたことはありませんか?
猫の体調不良はわかりにくいことが多いですが、“色の変化”は比較的気づきやすい重要なサインのひとつです。その中でも「黄疸(おうだん)」は、体の中で起きている異常を知らせるサインであり、見逃してはいけない状態です。
ただし、初期の黄疸はわかりづらく、「気づいたときには進行していた」というケースも少なくありません。
そこで今回は、猫の黄疸とは何か、自宅でどこを見れば気づけるのか、受診の目安について、飼い主様にもわかりやすくご紹介します。

■目次
黄疸とは、血液の中にある「ビリルビン」という色素が増えることで、体の一部が黄色く見える状態のことです。
このビリルビンは、古くなった赤血球が分解されるときにできるもので、通常は肝臓で処理され、体の外へ排出されます。しかし、何らかの原因でこの流れがうまくいかなくなると、体の中にビリルビンがたまり、皮膚や粘膜が黄色く見えるようになります。
原因は大きく3つに分けられます。
・赤血球が壊れすぎるタイプ
溶血性貧血などで赤血球が急激に壊れ、ビリルビンが大量に作られる状態です。中毒、感染症、自己免疫の異常などが原因になることがあります。
・肝臓で処理できないタイプ
肝炎、脂肪肝、肝臓の腫瘍、薬や毒物による肝障害などで、肝臓の働きが落ちている状態です。
・胆汁の通り道が詰まるタイプ
胆のうや胆管に炎症や閉塞が起きて、ビリルビンをうまく排出できない状態です。
猫では、脂肪肝、急性肝炎、胆管炎、猫白血病、猫伝染性腹膜炎(FIP)、中毒など、緊急性の高い病気が背景にあることもあります。
黄疸は、毛の上からでは気づきにくいため、色が見えやすい部分を意識してチェックすることがポイントです。
特に確認しやすいのは、以下の場所です。
・目の白い部分(白目)
・歯ぐきや口の中
・耳の内側(毛が薄い部分)
・お腹や内もも(皮膚が薄い部分)
特に白目や歯ぐきは変化に気づきやすいポイントです。
普段の色を覚えておくことで「いつもより黄色っぽい」といった違いに気づきやすくなります。
ただし、室内の照明だけでは分かりにくいこともあります。
できれば自然光のもとで確認すると、色の変化に気づきやすくなります。
黄疸は単独で現れることもありますが、多くの場合、全身の不調を伴います。
よく見られる症状には以下のようなものがあります。
・食欲が落ちる
・元気がなくなる
・体重が減ってくる
・吐いてしまう
・尿の色が濃くなる
・便の色が薄くなる
これらの症状は、肝臓や胆のうの働きが落ちているサインでもあります。
黄疸は、様子を見てよいケースはほとんどありません。
次のような状態が見られる場合は、様子を見ずにできるだけ早く動物病院を受診してください。
・明らかに目や歯ぐきが黄色い
・食事をほとんどとらない
・ぐったりして動かない
・短期間で急に状態が悪化している
・嘔吐が続いている
特に、猫は体調不良を隠す傾向があるため、見た目に変化が出ている時点で、すでに病気が進んでいることも少なくありません。
「もう少し様子を見よう」と迷うよりも、早めに相談することが結果的に負担を減らすことにつながります。
黄疸が疑われる場合、見た目の変化だけで原因を判断することはできません。
そのため、以下のような検査を組み合わせて診断を進めます。
・血液検査
ビリルビンの値や、肝臓の働きを示す数値を確認します。
・超音波検査(エコー)
肝臓や胆のう、胆管の状態を詳しく観察します。
・レントゲン検査
臓器の大きさや位置の異常を確認します。
必要に応じて追加検査を行い、原因を特定していきます。
黄疸は“症状”であり、“原因は別にある”ため、その原因を見極めることが最も重要です。
黄疸の治療は、「黄疸を消す治療」ではなく、原因となっている病気に対する治療が中心になります。
・肝臓の病気(脂肪肝など)
食事がとれていない猫に多く見られます。
点滴や栄養管理を中心に、体力を回復させながら治療を行います。
・胆道のトラブル
胆管が詰まっている場合などは、内科治療に加えて外科的な対応が必要になることもあります。
・溶血性の病気
免疫の異常などで赤血球が壊れている場合は、免疫を抑える治療などを行います。
このように、同じ「黄疸」でも原因によって治療方針はまったく異なるため、自己判断せず、検査をもとに適切な治療を受けることが大切です。
黄疸そのものを完全に防ぐことは難しいですが、原因となる病気の早期発見につながる工夫はできます。
大切なのは、食欲・元気・体重の変化を日頃からよく見ておくことです。「少し食べる量が減った」「なんとなく元気がない」といった小さな変化が、病気のサインであることもあります。
また、定期的な健康診断も重要です。血液検査や画像検査によって、見た目ではわからない異常を早めに見つけられることがあります。
日常の観察と健康診断を組み合わせながら、愛猫の変化を見逃さないようにしていきましょう。
猫の黄疸は、見た目の変化だけでなく、体の中で何か異常が起きているサインです。
白目や歯ぐき、耳の内側などを日頃からチェックしておくことで、小さな変化に気づきやすくなります。
もし「いつもと違うかも」と感じたときは、無理に様子を見続けず、早めに動物病院へ相談することが大切です。
気になることがあれば、どうぞ当院までお気軽にご相談ください。
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最終更新:2026年5月