「愛犬に初めて生理がきたけれど、いつまで続くの?」
「出血が続いているけれど、大丈夫なのかな?」
初めて愛犬のヒートを経験すると、このような不安を感じる飼い主様も多いのではないでしょうか。
犬のヒートは、人の生理とは仕組みが異なり、一般的には2〜4週間ほど続きます。そのうち、出血が見られる期間は1〜3週間程度が目安です。
ヒートの終わりが近づくと、出血が減る、外陰部の腫れが引く、普段の様子に戻るといった変化が見られます。ただし、期間や出血量には個体差があるため、出血が止まっただけで「完全に終わった」と判断することはできません。
今回は、犬のヒートが続く期間や終わりに近づいたときのサイン、ヒート中・ヒート後に気をつけたいことについて解説します。

■目次
犬の「生理」と呼ばれているものは、正確にはヒート(発情)に伴って見られる生理現象です。
人の生理は、妊娠が成立しなかった際に子宮内膜が排出される現象です。一方、犬のヒートに伴う出血は、発情が始まる時期に見られます。
つまり、犬の出血は「妊娠できない時期に入ったサイン」ではなく、これから妊娠する可能性がある時期に入ることを示す変化の一つです。そのため、妊娠を望まない場合は、出血が始まった段階からオス犬との接触を避ける必要があります。
犬の発情周期は、次の4つの時期に分けられます。
・発情前期
外陰部が腫れ、血の混じった分泌物が見られる時期です。オス犬は興味を示しますが、メス犬は交配を受け入れないことが多くあります。
・発情期
排卵が起こり、交配を受け入れるようになる時期です。出血の色が薄くなったり、量が減ったりすることがあります。
・発情後期
交配を受け入れなくなり、体が次の段階へ移る時期です。妊娠していない場合でも、妊娠時と似たホルモンの変化が続きます。
・無発情期
次の発情まで、卵巣の活動が比較的落ち着く時期です。
ヒートは年に1〜2回ほど見られる犬が多いものの、その間隔には個体差があります。一般的には、小型犬では比較的短く、大型犬では長くなる傾向があります。
初めてのヒートは生後6〜12か月頃に迎えることが多いですが、大型犬や超大型犬では1歳を過ぎてから始まる場合もあります。
また、出血量が少ない犬や、自分で舐め取ってしまう犬では、飼い主様が出血に気づかないこともあります。その場合は、外陰部が普段より腫れている、少量ずつ排尿する回数が増える、オス犬が強く反応するといった変化が、ヒートに気づくきっかけになります。
ヒート中は、ホルモンの影響によって、普段より甘える、落ち着きがなくなる、食欲にムラが出るなどの変化が見られることがあります。
多くは時間の経過とともに落ち着きますが、この時期は妊娠を防ぐためにも、次のような点に注意しましょう。
・散歩中はオス犬との接触を避ける
・ドッグランや犬が多く集まる場所の利用を控える
・外出時はリードを離さず、脱走を防ぐ
・室内が汚れる場合は犬用のマナーパンツを使用する
・落ち着いて休める環境を整える
発情中のメス犬のにおいに反応して、オス犬が強く興奮することがあります。普段はおとなしい犬でも、メス犬を追いかけたり、脱走しようとしたりすることがあるため注意が必要です。
なお、マナーパンツは室内の汚れを防ぐためのものであり、交配や妊娠を防ぐものではありません。着用していても、オス犬との接触は避けましょう。
もしオス犬と接触してしまった場合は、交尾した様子を確認できなかったとしても、妊娠の可能性を完全に否定することはできません。いつ、どのくらいの時間接触していたのかを確認したうえで、できるだけ早めに動物病院へ相談しましょう。
犬のヒートで出血が見られる期間は、1〜3週間ほどが目安です。ヒート全体では2〜4週間程度続くことが多く、期間や出血量には個体差があります。
そのため、ほかの犬よりヒートが長いからといって、必ずしも異常とは限りません。
ヒートが終わりに近づくと、次のような変化が見られることがあります。
・血の混じった分泌物が少なくなる
・外陰部の腫れが徐々に引いてくる
・交配を受け入れる行動が見られなくなる
・落ち着きや食欲などが普段の状態に戻る
発情期には、腰や外陰部の近くに触れたときに、しっぽを横へずらすなど、交配を受け入れる行動が見られることがあります。ヒートが終わりに近づくと、このような行動も次第に見られなくなります。
ただし、これらの変化だけで「ヒートが完全に終わった」と判断することはできません。 発情期には出血の色が薄くなったり、量が減ったりすることがありますが、この時期も交配すると妊娠する可能性があります。
また、外見や行動だけで、妊娠する可能性が完全になくなった時期を正確に判断することは困難です。妊娠を望まない場合は、出血が止まったあともしばらくはオス犬との接触を避けましょう。
ヒートが終わったあとに、おもちゃを子犬のように抱える、寝床へ運ぶ、巣作りをする、乳房が張る、乳汁が出るといった様子が見られることがあります。
これは偽妊娠と呼ばれる状態です。実際には妊娠していなくても、ホルモンの影響によって、妊娠したときのような体や行動の変化が現れます。
このほかにも、落ち着きがなくなる、食欲が低下する、神経質になる、怒りっぽくなるなど、性格や行動に変化が見られる犬もいます。
軽い症状であれば自然に落ち着くこともありますが、乳房を舐め続けると刺激によって乳汁の分泌が続いたり、皮膚炎や乳腺炎を引き起こしたりすることがあります。
そのため、症状が強い場合や長引く場合、乳房が赤く腫れて痛がる様子が見られる場合は、早めに動物病院へご相談ください。
▼偽妊娠についてはこちらで解説しています
ヒートは正常な生理現象ですが、出血や分泌物が見られる原因は、必ずしもヒートだけとは限りません。子宮や卵巣の病気、膣や尿路からの出血が原因となっていることもあります。
次のような変化が見られる場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
・出血や分泌物が普段のヒートより長く続いている
・一度減った出血が再び増えた
・膿のような、または悪臭のある分泌物が出ている
・元気や食欲が低下している
・発熱やぐったりした様子がある
・水を飲む量や尿の量が増えた
・お腹が張っている
・これまでのヒートとは異なる出血が見られる
また、ヒート中は少量ずつ排尿する回数が増える犬もいます。しかし、排尿時に痛がる、何度も排尿姿勢をとるのに尿が出ない、尿に血が混じっているといった場合は、膀胱炎など泌尿器の病気が隠れている可能性があります。
特に、避妊手術を受けていない中高齢犬では、子宮蓄膿症に注意が必要です。子宮蓄膿症では、外陰部から膿のような分泌物が見られることがありますが、子宮の出口が閉じているタイプでは、こうした分泌物が見られない場合もあります。
そのため、分泌物がないからといって安心はできません。上記のような症状が見られる場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
▼子宮蓄膿症についてはこちらで解説しています
ヒートを経験すると、「避妊手術は受けた方がよいのかな」と考える飼い主様も多いでしょう。
繁殖を予定していない場合は、避妊手術も選択肢の一つです。
避妊手術には、以下のようなメリットがあります。
・望まない妊娠を防げる
・子宮蓄膿症の予防につながる
・手術の時期によっては乳腺腫瘍の発生リスクを低減できる可能性がある
・ヒートに伴う出血や行動の変化がなくなる
一方で、避妊手術は全身麻酔を伴う手術であり、適した時期は犬種や年齢、体格、将来的に繁殖を希望するかどうかによって異なります。
「初めてのヒートが終わったばかりだけれど、いつ頃手術を受けるのがよいの?」「うちの子には避妊手術が合っているのかな?」と迷うこともあると思います。
そのような場合は、メリットだけでなく注意点も含めて獣医師から説明を受け、愛犬に合ったタイミングを一緒に考えることが大切です。
当院では、避妊手術についてのご相談はもちろん、手術を行う時期や術前検査についても、飼い主様にご納得いただけるよう丁寧にご説明しています。
犬のヒートは、出血が1〜3週間ほど見られ、全体では2〜4週間程度続くことが一般的です。ただし、期間や出血量には個体差があります。
出血が減ったり外陰部の腫れが引いたりすると、ヒートが終わりに近づいているサインと考えられます。しかし、出血が止まっても妊娠する可能性はあるため、交配を望まない場合は引き続きオス犬との接触を避けましょう。
また、普段よりヒートが長引く、悪臭のある分泌物が出る、元気や食欲が低下するといった変化が見られる場合は、病気が隠れている可能性もあります。
当院では、ヒート中の過ごし方や避妊手術についてのご相談にも対応しています。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
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最終更新:2026年8月