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手術中または手術後のトラブル【オス犬の去勢失敗例】

2016.04.08
オス犬の去勢
題名を見て「?」と思う方もいるかもしれませんが、去勢手術はとても簡単な手術である反面、あくまでも人の手が行うことですので、完璧ではありません。 今回、いち獣医師の経験、意見として、オス犬の去勢時に起こる不測の事態をいくつかご紹介します。

麻酔の不具合

去勢はほとんどの場合、若くて健康なオス犬に行いますので、麻酔の危険性は極めて低いと考えていただいて結構です。 ただし、まれに生まれつき肝臓の機能が低下していたり、水頭症などの脳疾患があった場合は、この限りではありません。 こういった疾患は、外見上わからないこともあり、また術前の検査でも異常を示さないようなことも多くあります。 肝臓は麻酔を代謝し、体外に出す臓器ですし、麻酔は血圧だけでなく、脳圧も変化させますから、隠れていた脳の疾患が突如として現れる場合もあります。 結果として、手術が無事に終わっても、麻酔からなかなか醒めない、もしくは何らかの後遺症が残ってしまうなどのことが、極めて稀ですが起こることもあります。 こういった不具合に関しては、基本的には特効薬はなく、出てきた症状に対し、対症療法を施し、経過を見ていくしかありません。 飼い犬は比較的に純血種が多いので、猫に比べるとそのような発生率はやや高いと思います。 麻酔の不具合

手術中に意図しない出血が見られる

精巣を摘出する際、精巣の動静脈を結紮するのですが、その縛り具合が甘く処置された際に起こります。 血管は大抵腹腔内に戻ってしまうので、術創などから出血がみられないケースも多く、術後に可視粘膜が白くなって貧血していることに気づき、初めてそのことが発生していることが判明します。 仮にそういった事態が発生した場合、対応法としては開腹をして出血をしている血管を再結紮して止めるしかありません。 滅多にあることではないと思いますし、私は幸運にも経験はありませんが、特に大型犬で発生した場合は、血管も非常に太いため、命の危機もかかわってきますので、しっかりとした対応が必要です。 出血 たまに、去勢手術を行い退院後に出血が少量見られる場合もありますが、これはあまり問題にはなりません。 精巣を包む総漿膜と言われる厚い膜や、皮膚にも犬はしっかりとした血管がありますので、そこからの出血が微量に続いているのだと思われます。 基本的には安静にしていれば止まってきますので、追加の処置は必要ありません。 興奮しやすい犬は血圧も上がりやすいので、帰宅後興奮した後などに、少量の出血が見られるかもしれませんが、心配する必要はないでしょう。

陰嚢が腫れあがる

医学的には陰嚢血腫と呼ばれ、精巣を摘出した際にできた隙間に、手術の際に起こった少量の出血がたまることで起こります。 術後数時間後から急速に陰嚢が腫れあがり、退院直後は「本当に手術したの?」というぐらいに腫れあがります。 また、陰茎わきの皮膚には皮下出血が多く起こっている場合も多く、飼い主様の心配を増長させることとなります。 基本的には治療は必要ありませんが、犬が気にして舐めるようであれば、さらに腫れは大きくなるので、エリザベスカラーなどの何かしらの対策が必要となります。

まとめ

こういったような去勢手術に関係する不具合の起こる可能性は、術者の熟練度にも反比例はするのですが、どんな名獣医でも「0%」ではないことは確かです。 人の手ですることなので、絶対はありえないのですが、重要なのはこういった不具合が出た後に、どのように適切に対応できるかどうかだとは思います。 そうは言いつつも、去勢手術で深刻な状況になる可能性は極めて低いと思いますので、去勢は前向きに検討された方がいいとは思います。
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