スタッフブログ

HOME > スタッフブログ > 去勢が肝心?! 意外と知られていない肛門周囲腺腫とオス犬の関係。

去勢が肝心?! 意外と知られていない肛門周囲腺腫とオス犬の関係。

2016.03.04
オス犬の去勢

犬の飼育において、予防医療の大切さが飼い主の意識の中に浸透したことで寿命が大幅に伸びたと言えます。 犬が高齢になってくると、その多くで体のあちこちにしこりなどの腫瘍が見られるようになります。 現在、犬の死亡原因の統計調査ではガンなどの腫瘍がトップとなっているのもうなずけます。 その腫瘍の中で肛門のまわりにできる「肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)」というものがあるのをご存知ですか? この肛門周囲腺腫はなんと、去勢していないオス犬に多いという事実があるのです。

肛門周囲腺腫とは?

腺細胞が腫瘍化したもの

肛門やその周囲にできる良性腫瘍で、肛門の周囲にもともと存在している腺細胞が腫瘍化したものです。 毛の生えていない肛門部分だけでなく、その周囲の皮膚や尻尾にも発生し、1ヶ所から同時に数ヶ所同時に見られることもあります。 最初は数ミリのイボ状の膨らみで気付くことがありますが、徐々に大きくなると肛門のサイズよりも大きくなることもしばしばです。 そしてこの腫瘍の発生は男性ホルモンの影響を受けて発生しやすいため、去勢していないオス犬に多いのです。

そのままにしておいたらどうなる?

何度も出血を繰り返します

この腫瘍の特徴は、腫瘍表面が柔らかいこともあり一部が潰れて出血しやすく、一度潰れると何度も出血を繰り返します。 転移のない良性腫瘍といえども、こうなってしまうと犬に違和感を与え、また血が周りにつきやすくなすので管理も大変です。 生活の質(QOL)が低下するため、実際この腫瘍を持っている高齢犬の飼い主さんが「高齢の我が仔に麻酔をかけて取ってあげるべきか」ということをとても悩まれるケースを獣医師としてよく経験しています。 もちろん腫瘍が大きくなればなるほど、そして犬が高齢であるほど様々なリスクが生じることはもちろんです。 どんな腫瘍でもそうですが、早いうちの対処が大切なのです。

治療法は?

上記でも触れた通り、麻酔をかけて外科手術で腫瘍を取り除くことが一番の治療法です。 腫瘍が大きくなると肛門の組織を傷つけて肛門の締まりが悪くなるなど影響が残ることもあるため、出来るだけ小さいうちに手術した法が良いと思います。 また、男性ホルモンの影響を受けることから、去勢していないオス犬は再発予防のため去勢手術も同時に行うことがベストでしょう。

メス犬で見つけたら要注意!

メス犬

今まで述べてきたような肛門まわりの腫瘍がメス犬にできた場合、非常に要注意です。 実は、オス犬とは異なり「アポクリン腺癌」という悪性腫瘍である可能性が高くなるのです。 この腫瘍は他の場所に転移しやすく治療も難しいですから、様子を見ることなくすぐに動物病院に連れて行ってあげて下さい。

まとめ

若いうちに

こういった知識をあらかじめ持ち合わせていないと、高齢になって初めて様々な病気に気付くことになりかねません。 肛門周囲腺腫がどういった特徴を持っているのかを知っていれば若いうちに去勢手術をして予防しておこう、という気持ちになるでしょう。

 
TOPへ戻る