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犬の偽妊娠にお困りの方へ。飼い主がとるべき4つの選択肢。

2016.01.09
メス犬の避妊

学問上の分類では、犬は季節繁殖動物と呼ばれ、年2回、春と秋に発情が来ます。 できるだけいい季節に出産をするための自然の摂理だと思います。 一般的に、女性の月経とは異なり、犬の発情出血の場合は「生理」とは言いません。 発情前期、発情期、発情後期(発情間期)、無発情期と4つの段階に分かれ、出血は発情期に起こり、排卵と同時に起こります。 犬の性周期は非常に個体差が多く、平均であれば9日間で終わる発情期も、1か月近く続く犬もいれば、無発情期が1年以上続く犬もいますので、臨床的にその犬がどの時期にいるかは正直わからないことがほとんどです。

本能

実際問題として、飼い主様にとっても、問題になるのは出血の始まる発情期と、異常行動が起こる偽妊娠ではないでしょうか? 特に、おむつを履かせるなどの工夫で何とかなる発情期の出血と異なり、偽妊娠期の犬はあたかも病気のようなふるまいを見せるので、体調を心配され病院にご相談しに来る飼い主様も多くいらっしゃいます。 偽妊娠とは乳首から乳汁が出たり、体重減少の伴わない食欲不振、震え、攻撃的になったり、子育て行動をしたりするものです。 まだ、野生だったころの名残だと言われ、群れの中の他のメスが産んだ仔犬を育てようとする原始的なメカニズムがあると言われています。 通常、出血があってから2か月前後で現れますが、その犬によっては食欲不振が顕著に表れて嘔吐なども伴ったり、攻撃的な行動が強く表れ飼い主様が難儀することも多くあります。 何らかの病気と偽妊娠の見極め方は、体重が減少しているかどうかを見るのが一番手っ取り早い方法です。 偽妊娠期では食欲不振が起こっても、なぜか体重は減少しません。 一般的にはこれといった対応法はなく、待っていれば2週間ぐらいで収まるのですが、よっぽどその症状が強い場合は次のような治療法が推奨されます。

(1)避妊手術を行う

手術

最も一般的な方法だと思います。 偽妊娠はプロラクチンというホルモンが原因で起こります。 卵巣と子宮を摘出することにより、プロラクチンの分泌は抑えられるため、偽妊娠は起こらないようになります。 ただ、ことの真偽は確かではないのですが、偽妊娠を起こしている時期に、避妊手術を行うことは避けたほうが良いと言われています。 乳腺の腫れがおさまらなくなるからだと言われているからです。

(2)性ステロイドホルモンを使用する

性ステロイドホルモンとは、その名の通り性ホルモンの中でも、ステロイドホルモンに属するものです。 あまり一般的ではありませんが、性ステロイドホルモンはプロラクチンの分泌を抑える作用があるので、投薬を行うことで偽妊娠の症状を和らげてあげることができます。

(3)トランキライザーを使用する

薬を使う

トランキライザーとは抗不安薬と言われているもので、弱い精神安定作用があるお薬です。 偽妊娠は、プロラクチンと呼ばれる性ホルモンが原因とはなりますが、性周期にかかわるホルモンは精神状態に大きく影響を与えるため、情緒が不安定になります。 使用をためらう方も多いとは思いますが、あまりにもひどい攻撃行動をとるようなときには使用したほうがいい場合もあります。

(4)高プロラクチン治療薬を使用する

ブロモクリプチン、カルベゴリンと言われるお薬が一般的ですが、人の場合は主に不妊治療に使用されるお薬です。 脳の受容体に作用し、プロラクチンの分泌をおさえます。 ただ、動物の場合の薬用量ははっきりと決まっているわけではないので、効果は個体差によりまちまちだと思います。

まとめ

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偽妊娠は病気ではありませんので、様子を見るのが正しいのか、投薬をするのが正しいのか、手術をすることが正しいのかは、個人の判断になるとは思います。 わたし自身の個人的な意見としては、投薬に頼らなくてもよい、ほかの病気の予防にもなるという観点から、避妊手術を行うのがいい方法だと思います。

 
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