「オス猫の去勢はしたほうがいいの?」「かわいそうな気もするし、しなくても大丈夫なのでは?」
そんな疑問をお持ちの飼い主様は多くいらっしゃいます。インターネットやSNSでも意見が分かれ「長生きに関係する」「性格が変わる」「マーキング対策になる」など、さまざまな情報が飛び交っています。
そこで今回は「去勢する/しない」のそれぞれの選択肢を中立的な立場から比較し、飼い主様が愛猫とご自身の生活スタイルに合った判断ができるよう解説していきます。
どちらを選んでも正解ですので、ご家族にとって納得のいく選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。

■目次
オス猫の去勢手術を受けるかどうかで、いくつかの変化が見られます。以下に、飼い主様がよく気にされる点について、主な違いを一覧で比較しました。
| 比較項目 | 去勢する場合 | 去勢しない場合 |
|---|---|---|
| マーキング(スプレー行動) | かなり減る or 消える | 強く出ることが多い(特に発情期) |
| 発情行動(鳴き声・落ち着きのなさ) | ほぼ見られなくなる | 大きな声で鳴く、ソワソワする |
| 外出・脱走・ケンカのリスク | 減る | 高い(特に外に出る猫) |
| 性格・行動傾向 | 穏やかになる傾向 | 活動的なまま、個体差あり |
| 病気リスク | 精巣の病気やケガが減る | ケンカや感染による病気のリスクあり |
| 体重 | 太りやすくなる傾向 | 運動量多めで維持しやすいことも |
| 費用(短期) | 手術費用がかかる | 将来的な治療費がかかる場合も |
Q1. 去勢しない方が長生きするって本当?
A.インターネット上で「去勢しない猫の方が長生き」という情報を目にすることがありますが、これは一部の研究やデータを根拠にしたものであり、生活環境によって結果が大きく変わります。
たとえば、完全室内飼育で危険が少ない環境であれば、去勢していなくても健康に暮らせるケースはあります。
一方で、外に出る機会がある場合は、ケンカや交通事故、感染症などのリスクが高まります。去勢をすることで、こうしたリスクをある程度減らせる可能性がある、という報告もあります。
Q2. マーキングやスプレー行動は必ず起こる?
A. 去勢していないオス猫の多くが、縄張りを主張するためにスプレーと呼ばれる強い臭いの尿をかける行動を見せます。
これは本能によるものですが、家の中でこれが続くと、衛生管理が難しくなるだけでなく、臭いが消えづらく、飼い主様のストレスにもつながりやすいです。
去勢により、この行動は多くの猫で抑えられますが、一度定着した習慣は残ることもあるため、早めの対応が有効です。
Q3. 性格は変わりますか?
A.「去勢すると性格が変わってしまうのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、実際には、去勢後に「穏やかになった」「落ち着いた」と感じる飼い主様が多い一方、元気なままの子もいます。
性格の変化は去勢の有無だけでなく、もともとの気質や生活環境にも左右されます。
Q4. 病気のリスクはどうですか?
A.去勢により、精巣腫瘍などの病気は予防できます。
ただし、オス猫特有の泌尿器系の病気(尿路結石・膀胱炎など)との直接的な因果関係は少なく「去勢すればすべての病気が予防できる」というわけではありません。
一方、未去勢で外に出る猫は、ケンカによる外傷やウイルス感染(猫エイズなど)のリスクが高まります。
▼精巣腫瘍についてはこちらで解説しています
▼猫に多い泌尿器系の病気についてはこちらで解説しています
▼猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)についてはこちらで解説しています
Q5. 費用とタイミングについて教えてください
猫の去勢手術には4万円ほどの費用がかかることが一般的です。一方、未去勢でマーキング対策やケガ・病気の治療が必要になった場合、長期的なケアの費用がかさむこともあります。
手術のタイミングは、生後6ヶ月頃が目安ですが、体格や発情行動の状況により前後する場合がありますので、獣医師と相談して決めましょう。
「うちは去勢しないつもり」という場合も、猫のストレスや行動をしっかりケアしてあげることが大切です。
・脱走防止のため、窓や扉にロックや柵をつける
・多頭飼いなら、発情中は別々の部屋に分ける
・スプレー行動への対策として、消臭ケア・洗える家具カバーなどを活用
・ストレスを和らげるために、キャットタワーや遊びを充実させる
去勢しないからこそ、「行動のケア」にも気を配る必要があります。「ちゃんと見守れるか心配…」という方は、獣医師に一度ご相談ください。
去勢手術は全身麻酔を使用する手術です。
心配なことがあれば、事前にしっかり説明を受けて納得したうえで進めましょう。
手術後は、
・食欲や元気が戻っているかの確認
・傷口を舐めないように術後服やエリザベスカラーをつける
・食事量を調整して体重管理を意識する(太りやすくなることがあります)
など、継続した見守りが大切になります。
▼麻酔時の獣医師のチェックポイントについてはこちらで解説しています
それぞれのご家庭に合った判断があり、「正解」はひとつではありません。ご自身と愛猫の暮らしに置き換えて、どちらが安心できるかを考えてみましょう。
◉ ケース1:室内飼いで去勢しない選択をしたAさん
「発情期はあるけれど、性格的におだやかで脱走もしない子なので、しないまま様子を見ています。ニオイ対策と掃除は大変だけど、今のところ大きなトラブルはありません。」
◉ ケース2:賃貸アパート&多頭飼いで去勢したBさん
「発情期になると鳴き声やスプレー行動がすごくて…。ニオイや壁の汚れで困っていたので、去勢を選びました。今は落ち着いて、お世話もぐっと楽になりました。」
◉ ケース③:最初は去勢しなかったが、途中で「する」選択に変えたCさん
「迎えたばかりの頃は去勢をせず様子を見ていましたが、成長とともに鳴き声やマーキングが増え、本人も落ち着かない様子に…生活環境や猫の変化を見て、獣医師と相談したうえで去勢を決めました。結果的に、猫も穏やかに過ごせるようになり、家族としても安心できました。」
オス猫の去勢にはメリットもデメリットもあります。
「去勢=するべき」でも「しない=間違い」でもありません。大切なのは、その子の性格や体調、ご家族のライフスタイルに合った選択をすることです。
どちらを選ぶにしても、飼い主様がしっかりとした情報をもとに、納得して決めることが何よりも大切です。
迷っている方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。生活面のことも含めて、丁寧にご案内いたします。
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