たまに動物病院で起こる間違いなのですが、飼い主様から去勢手術のお問い合わせがあった時に、実際にはメスなのにもかかわらず、病院のスタッフはオスのつもりで対応することがります。
基本的には去勢手術はオスに対してであり、避妊手術はメスに対しての手術を意味します。
飼い主様にとってはどちらも大きな違いはないかもしれませんが、実際のところはちょっと別なものです。
今回はそんな去勢手術と避妊手術の違いをご説明したいと思います。
摘出する臓器が違う
当然と言えば当然なのですが、オスとメスで摘出する臓器が異なります。
オスは睾丸を摘出しますが、メスの避妊手術の場合、子宮と卵巣を摘出します。
たまに雌雄同体として奇形で現れる猫もいますが、非常に、極めて、稀なことです。
手術時間が違う
オスの睾丸は体の表面にあるので、摘出するのは非常に簡単です。

一方でメスの子宮と卵巣は腹腔内にあるため、開腹手術となります。
基本的には複雑な手技は入りこまないのですが、開腹し、摘出し、閉腹するという一連の流れには、それ相応の時間がかかります。
去勢手術自体は5分程度で終わりますが、避妊手術は20分程度かかることが多いと思います。
手術のリスクが違う
オスの去勢手術において、全身麻酔のリスク以外では、よほどのことがないかぎり手技的なリスクが含まれることはありません。
避妊手術では摘出するべき臓器が腹腔内にあるため、色々な要因でリスクが高まるケースがあります。
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また、手術による肉体的な影響も避妊手術のほうが多いと思います。
特に猫のような繊細な動物は、術後の回復具合が去勢手術に比べると遅い場合もあるので、術後の経過は少し慎重に対応したほうがいいかもしれません。
料金が違う
結果として一般的には避妊手術のほうが去勢手術に比べると全体的にかかる費用が多くなります。
また、手術中に事前にはわからないような子宮や卵巣の形態変化が起こっていることがよくあるので、追加のご費用が発生することもたまにあります。
おおよそどれくらいの費用が掛かるかは、事前に獣医師とよく相談された方がいいと思います。
共通点は・・・・

去勢手術も避妊手術も全身麻酔をかける手術であるという点では変わりません。
したがって、術前の検査や用意などが必要になってきます。
まとめ
色々書くと、避妊手術のほうが危険度が高く大変そうな気がしてきますが、比べればということであって、実際のところはそう難しい手術ではありません。
避妊手術を行わないメス猫は、高齢になった時に色々な疾患が出てきますので、避妊手術は行った方が将来的にかかるリスクは少ないと思います。
病気の予防という点では去勢手術よりも避妊手術のほうが高いので、そこも大きな違いなのではと個人的には思っています。