メスの猫の避妊手術の適齢期は生後約半年と言われています。
ただ、何らかの理由で、例えば発情が来なかったとか、予定が合わなかったとか、その時に体調が悪かったなどの理由で避妊手術の時期を逃してしまうこともよくあります。
それほど高齢ではないけれど、年齢が2~5歳で手術を行った場合、生後半年ごろ行う避妊手術とではなにか違いがあるのでしょうか?
今回はそんな時期を逃して行った場合のメス猫の避妊手術に、どのようなリスクがあるのかご説明したいと思います。
乳腺腫瘍の予防効果の低下

ある程度年齢がいってからの避妊手術の最大のリスクは、乳腺腫瘍の予防効果の低下です。
発情前に行った避妊手術ではほぼ100%の予防効果があると言われていますが、3,4回発情がきてからでは、乳腺腫瘍の発生リスクは、避妊手術を行っていない猫とほぼ変わりません。
猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性と言われていますので、予防効果の著しい低下は飼い主様にとっても非常に困った問題になると思います。
麻酔のリスクの上昇
高齢ではないので、それほど考えなくてもいいとは思いますが、早い猫であれば3歳程度から腎不全の傾向が見られるようになります。
ほとんどの麻酔薬は肝臓および腎臓で代謝をされますので、腎機能の低下はすなわち麻酔のリスクの上昇になります。
子宮の構造変化をひき起こす
発情を一度起こすと、そのホルモンの影響により、子宮と卵巣の形態が変わってきます。
卵巣は水泡状の構造物が多く見られるようになり、時に卵巣の遺残を引き起こすため、避妊手術後も発情がおさまらないケースがごく稀に起こります。
また子宮も通常の子宮よりも太く硬くなるケースが多く、場合によっては子宮内に大量に液体をため込むため、術創が大きくなったり、出血が多くなったりということもあります。
術後の回復が遅くなるケースもある

特に手術は問題なかったとしても、術後麻酔からの覚醒が遅くなったり、退院後の食欲不振や体調不良が長引くケースもあります。
もちろん、年齢だけではなく、猫ですのでメンタル的な要因も絡んでくるのですが、若い猫よりは回復が遅いのは確かなことだと思います。
避妊手術にかかる全体の費用が高くなることがある
生後半年程度であれば、必要最低限の検査で済むことが多いのですが、一定の年齢を超えると、理想を言えば行った方がよい検査項目が増えることもあります。
レントゲンや心電図などの検査は、通常避妊手術前では行うことは滅多にありませんが、ある程度の年齢であれば行った方がいいでしょう。
その分検査の費用が膨らむため、全体的な費用面の負担が増えると思います。
また、術中に点滴を流したり、子宮や卵巣の形態に変化があれば、別途の費用が掛かります。
まとめ
どうせ避妊手術を行うのであれば、後にするメリットはあまりありません。
個人的な意見を言えば、やりたくないのは後回しにしてしまうのが人の常ですが、手術のリスクの上昇は命のリスクの上昇を意味します。
適齢期になったら、一度獣医師とご相談して頂くことをお勧めします。