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中高齢になって犬の去勢手術を行う場合、注意しておきたい4つのこと

2016.12.05
オス犬の去勢

一般的な時期で言えば、犬の去勢手術はおおよそ生後半年で行います。 ただ、何らかの理由で去勢手術のタイミングを逃してしまったとか、去勢手術はするつもりはなかったのだが、未去勢が原因の病気にかかり、去勢するのを余儀なくされるなどの場合、中高齢で去勢手術を決断する方も多いかと思います。 術式は全く変わらないのですが、若い個体で行う去勢手術と違い、中高齢の去勢手術には注意しないといけない点がいくつかあるので、今回はそれについてご説明したいと思います。

一般状態の確認

若い個体と異なり、中高齢では特に問題がなくても、食欲が落ちていたり、体重が落ちていた李、体力も失っていたりと、加齢による変化が出てきていることがたまにあります。 去勢手術は非常に簡単な手術ではあるのですが、全身麻酔を使用します。 体調が危うい場合には、全身麻酔を避けられるのであれば避けたいところです。 基本と言えば基本的なことですが、まず一般状態が問題がないかは確認しておきましょう。

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循環器の確認

ほとんどの場合、若い個体でも麻酔のリスクを考えて血液検査は術前に行います。 血液検査の目的は、主に肝臓や腎臓など、麻酔の代謝にかかわる臓器のチェックが主たる目的です。 一方で、麻酔は心臓や呼吸器などの循環器を非常に強く抑制するのですが、こちらの検査はあまり実施はしません。 なぜなら、若い個体で循環器の機能が低下していることはほとんどなく、簡単な聴診程度で終わらせてしまうからです。 中高齢の場合、循環器特に心臓の機能は著しく低下していることも多く、レントゲンやエコー検査で機能を評価することをお勧めします。

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血液検査は問題なくても、心臓の機能には割と問題があることは非常に多いので、簡単なボディーチェックで終わらせないほうがいいと思います。

術後の状態の確認

内臓諸臓器の機能が問題ないといっても、麻酔からの覚醒の時間は、若い個体に比べれば中高齢の犬では比較的長くかかります。 また、覚醒の時間だけでなく、手術が与える影響も大きいことが多く、術後の体力の回復もより時間がかかるケースが多くあります。 超高齢犬では、去勢手術の後から後肢がふらついたり、食欲が全く回復しなかったりと、術後になってみないとわからないことも多いので、術後の管理も油断せずしっかりと行う必要があります。

肥満のリスクの確認

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去勢手術後では10~30%程度の犬が肥満になりやすくなると言いますが、これは年齢を問わずに当てはまります。 ただし、中高齢になってからの急激な体重の変化は、内臓諸臓器の負担を大きくしますので、若い個体以上に術後の体重の増加は注意して観察しないといけません。 また、若い個体に比べると活動量が落ちているので、ダイエットもしにくいので、一度増えた体重をもとに戻すのも大変です。

まとめ

必要とあらば、中高齢になっても去勢手術は行うべきだとは思います。 ただ、獣医師の目線で言うのであれば、どうせやらないといけないのであれば、去勢手術のリスクもほとんどない、若い時期に行うことをお勧めします。

 
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