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【獣医師監修】犬の避妊・去勢手術後によくある5つの症状と対処法|痛み・食欲不振・排泄トラブルなど

2025.11.14
オス犬の去勢メス犬の避妊犬の話

「手術が終わってホッとしたのに、なんだか元気がない」「ごはんを食べずに心配」「傷をずっと舐めている」術後の愛犬の変化に不安を抱える飼い主様は少なくありません。

避妊・去勢手術後は、体の回復だけでなく、環境の変化やストレスなど心と体の両方に負担がかかる時期です。多くの場合は一時的な反応で、適切なケアを行えば数日で落ち着きますが、中には病院での再診が必要なケースもあります。

今回は、術後に見られる5つの主な症状とその対処法について、獣医師の視点からわかりやすくご紹介します。

■目次

 

痛がる・歩かないときの対処法


避妊・去勢手術の後、「歩きたがらない」「座るのを嫌がる」「触れるとキャンと鳴く」といった反応が見られることがあります。これは術後の痛みや違和感、麻酔の影響が残っているために起こる一時的な反応で、多くは自然に回復していきます。

〈対処法〉

1日程度は安静にし、ゆっくり眠らせてあげましょう。
室内は静かに保ち、滑りやすい床にはマットを敷くと安心です。
・翌日になっても強く痛がる、立てない、歩くたびに鳴くようであれば早めに受診を。

 

傷口を舐める・気にする場合の対処法


「ずっと傷を舐めている」「縫ったところを噛もうとする」など、術後によく見られる行動です。これは糸の違和感やかゆみ、ストレスが原因となっている場合が多いです。

〈対処法〉

エリザベスカラーや術後服を着け、傷口に直接触れないようにします。
・服を嫌がる場合は、柔らかい素材やサイズを見直しましょう。
・カラーを嫌がって暴れる場合は、腹巻きタイプの腹帯なども有効です。
・傷口の赤み・出血・膿・腫れがある場合は感染の可能性があるため、早めに受診を。

当院では、術後のケア用品の選び方や、カラーに慣れてもらうための工夫についてもご案内しています。ご不安な場合は、遠慮なくご相談ください。

 

ご飯を食べない・食欲がないときの対応


手術翌日以降、「ご飯を口にしない」「水をほとんど飲まない」というケースもよく見られます。麻酔やストレスによって胃腸の動きが一時的に低下している可能性があります。

〈対処法〉

・術後24時間程度は食欲不振が続いても問題ありません。
・それ以上続く場合は、痛み・感染・発熱・内臓のトラブルが隠れていることがあります。
フードを少し温める・香りを立たせる・ふやかして柔らかくすることで食べやすくなります。
・水分が不足すると脱水を起こすため、半日以上水をまったく飲まない場合は受診が必要です。

一時的な症状で済むケースも多いですが、「何日も続く」「元気がない」「吐き気や下痢がある」などのサインが見られる場合は、必ずご相談ください。

 

排泄しない・下痢をする場合の考え方


「うんちが出ない」「尿の色が濃い」「下痢をしている」などの変化も珍しくありません。
麻酔や絶食の影響、活動量の低下によって腸の働きが一時的に鈍ることが原因です。

〈対処法〉

・術後1〜2日間程度の便秘は経過観察が可能なこともあります。
・3日以上出ない、または便が硬く苦しそうなときは受診を。
・下痢や血便がある場合は、感染や腸炎が疑われます。
・水分をしっかり補い、冷暖房の使用時には体が冷えすぎないよう注意してください。

術後のストレスで排泄のタイミングが変わる犬も多いため、焦らず静かな環境で見守りましょう。気になる変化があれば、遠慮なくご相談ください。

 

元気がない・散歩に行きたがらない


「寝てばかり」「散歩に行きたがらない」「表情が沈んでいる」など、気力の低下が見られることがあります。麻酔が抜けきっていない、あるいは痛みが残っている可能性があります。

〈対処法〉

・通常は2〜3日で少しずつ元気が戻ります。
・それ以上続く場合は、発熱や感染などを確認するため再診を。
抜糸が終わるまでは激しい運動・ジャンプ・階段は避け、トイレ散歩程度に留めてください。

飼い主様がやさしく声をかけ、安心できる時間を過ごすことも回復の助けになります。

 

病院を怖がる・人間を避けるようになった


手術後に「キャリーに入ると震える」「病院を怖がる」といった変化が見られることがあります。これは、入院や痛みの記憶による心のストレス反応です。

〈対処法〉

家でたくさんスキンシップを取り、「安心できる時間」を増やす。
通院時におやつを使い「病院=嬉しい場所」と感じさせる工夫を。
・過剰な恐怖や攻撃行動が見られる場合は、行動診療の相談も可能です。

動物たちは繊細な心を持っています。手術を頑張ったその子に、安心できる環境と愛情を届けながら、少しずつ信頼関係を取り戻していきましょう。

 

まとめ


避妊・去勢手術後の変化は、ほとんどが一時的で自然な回復過程です。
ただし、「痛みが長引く」「食欲が戻らない」「排泄が3日以上ない」「元気が極端にない」などの場合は、早めに病院へご相談ください。

当院では、術後ケアや生活サポートも含めて、飼い主様と一緒に回復を見守る体制を整えています。
どんな小さな変化でも気づいたときにご相談いただくことで、愛犬の健康をより確実に守ることができます。

 

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