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【メス猫の避妊手術】手術後からくしゃみが連発・・・。どうなってるの?

2016.08.31
メス猫の避妊

飼い主様にとって、避妊手術いうのは心配で心配でしょうがないものだと思います。 手術前も色々悩んで、やっとの思いで手術。 無事に終わって帰って来たら、何コレ? このブログでも予想しないような術後の不具合について色々書いてきましたが、どんなに気を付けてはいても起こるときは起こります。 今回は手術とは一見全く関係のないようなくしゃみなどが出た症例についてご説明します。

避妊手術がメス猫に与える影響

避妊手術は当然手術ですから、全身麻酔を使用します。 全身麻酔はガス麻酔を使用するのが一般的です。 気体の麻酔薬は注射などの麻酔薬よりも代謝が極めて早く、麻酔からの覚醒も非常に速やかですが、完全に体から抜けきるまでは、半日から丸一日はかかります。 麻酔薬は特に循環器に影響を与えるため、しばらくの間は血圧が低く、体温も下がりやすい傾向になります。

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また避妊手術は、それほど大きな術創ではありませんが、やはり皮膚、腹筋その他もろもろにメスを入れます。 生き物の体というのは、損傷を起こすと、その個所から大量の化学物質が放出されます。 そのため、様々な生体反応が起こるのですが、特に免疫系統には多大な影響を与えます。 その他、入院によるストレスや絶食時間が長いなどの様々な要因が、猫の身体的、精神的にダメージを与えていきます。

くしゃみが出る理由

特に保護した猫には多いのですが、多くの猫は猫は、仔猫の時に猫ヘルペスウイルスに感染をしています。 このウイルスの特徴は、免疫力がしっかりしている猫、すなわち健康な成猫にはほとんど症状を出さず、臨床的に問題がある場合は、大抵仔猫の時です。 仔猫の場合、結膜炎や目ヤニ、鼻水やくしゃみなどの鼻炎、口内炎を引き起こし、重度の場合は衰弱して非常に危険な状態になることもしばしばです。

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またこのウイルスのもう一つの特徴としては、一度感染が成立すると、免疫システムから逃れる術を持っているため、体外に完全に排除することはありません。 避妊手術後は、血圧も下がり、体温も調整しにくく、免疫力に多大な影響がでるため、過去に感染していたウイルスが活発になり、鼻水、くしゃみなどが起こるのです。

治療法

ヘルペスウイルスに対して画期的な治療法はなく、基本的には支持療法を行うのと、とにかく休息と栄養補給を行います。 術後におきたこういった症状で、重篤になったケースはありませんが、せっかく手術が終わったメス猫に、さらに治療の負荷をかけるのは忍びないので、極力早期のうちに症状が改善できるように治療していきます。 経験則の話ですが、この感染症にはインターフェロンをよく使用しますが、個人的には大きな効果はあまりなく、コストも高いため、あまり使用頻度は高くありません。

まとめ

生き物の体というのは、あそびの部分が多く、必ずしも予想通りにならないこともよくあります。 どんな不具合も完璧に予防することはできないので、重要なのは起こったそのあとに、どれだけ速やかな、かつ効果的な手段をとれるかどうかが重要なことだと思います。

 
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