獣医師の意見としては、できれば避妊手術は受けてほしいもの。
特にメス犬が高齢になると、避妊手術をしないが故に起こる病気はいっぱいあるからです。
ただし、避妊手術も手術ですから、自分の愛犬にメスを入れたくないと思うのも、飼い主様の正直なお気持ちだと思います。
今回は、避妊をしていないメス犬が年をとったときに、気を付けた方がいい病気のサインについてご説明させていただきます。
水を飲む量と、排尿の量
飲水量と排尿の量は、この件にかかわらずよく観察していただきたいものだと思います。
糖尿病、腎不全、その他のホルモン性疾患など、色々な病気で多飲多尿の傾向となります。
食欲や元気などはよく環境やその時の状況に影響されやすく、病気そのものを反映することが難しいのですが、飲水量は強く病気と関連性があることが多いと思います。

未避妊のメス犬にとっていのであれば、子宮蓄膿症の初期段階はこの症状を引き起こすため、怪しいなと思ったらすぐに動物病院に行くことをお勧めします。
乳腺にしこりができていないかどうか
未避妊のメスでは乳腺に腫瘍ができることも多く、最初は豆粒大の大きさですが、場合によってはどんどん大きくなっていきます。
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一般論で言えば、直径3㎝を超えた乳腺腫瘍の悪性度は高く、転移する可能性もあるため、3㎝に達する前に対応をしたほうがいいと言われています。
場所にもよりけりですが、小さいものであれば局所麻酔などで対応することもできるので、乳腺で何か触れるものがあったら、すぐに動物病院に受診しましょう。
被毛が薄くなったり、やけにお腹だけ出ていないかどうか
未避妊のメス犬に限ったことではないのですが、高齢になるとホルモン的な影響で被毛の状態が変化していくことがあります。
特に未避妊のメス犬では、副腎皮質機能亢進症と呼ばれるホルモン疾患や、性ホルモンの分泌過多により、オス犬や避妊済みのメス犬よりも内分泌性皮膚疾患にかかる可能性が多いと思います。
左右対称性もしくは全体的に毛が薄くなり、たいていの場合は多食の傾向になることが多くあります。
子宮蓄膿症や乳腺腫瘍のように生命の危機に直結するようなことはあまりありませんが、糖尿病などを併発するために注意が必要です。
陰部からの分泌物やその他の構造物が飛び出していないかどうか
膣からのおりものとして、透明なもの、白ぽいものの多くはそれほど深刻な分泌物ではありませんが、黄色っぽいドロッとしたものや、血が混じったものは注意が必要です。
また、赤くポリープ上のものが、陰部から出てくることありますので、陰部そのものやそのまわりの被毛の汚れ、特に尾が陰部と接着する場所の汚れは、よく観察しておいたほうがいいと思います。
まとめ
避妊手術は特に義務ではありません。
避妊手術をしないというのも一つの医療的な選択肢の一つだと思います。
ただし、避妊手術をしなかったがゆえに起こる病気があるというのも事実。
そういった病気を早く見つけてあげることによって、最終的には犬たちの長生きにつながるのだと思います。