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避妊手術をしたはずのメス犬に不正な出血、おりもの。考えられる2つの可能性【膣炎・子宮断端腫】。

2016.05.14
メス犬の避妊

避妊手術の最大のメリットは病気を予防することです。 特に子宮蓄膿症のような卵巣や子宮系の病気はほぼ100%予防できることが言われていますが、まれに避妊手術後でも不具合が出てくるケースもあります。 普段診察している中でも、避妊手術をしたメス犬の陰部から、不正な出血や膿のような分泌物が出てくる症例をたまに見かけます。 今回は、避妊手術を受けているのにもかかわらず起こる可能性がある代表的な病気をご説明します。

膣炎

動物病院の中では、割とよく見かける疾患です。 症状としては、元気、食欲は全く問題なく、下痢、吐き気などの症状もないのですが、陰部から膿のような、ねっばっとした分泌物が出てくるのが特徴です。 結論から言えば、ほとんどの場合が原因不明で、治療にもあまり反応がないことが多いと思います。 もちろん避妊手術をしていないメス犬にも起こりますが、避妊手術を行ったメス犬にも起こることから、発情ホルモンなどの関連性は強くないと考えられています。 解剖学的に、膣には尿道の開口部があり、常在菌が存在していることから、何らかの問題で常在菌が悪さをして起こすものであると思われます。

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私自身、無処置でも大事に至った経験はありませんが、おりものの量は意外と多く、自宅の絨毯や布団などを汚してしまうので、飼い主様にとっては厄介なものかもしれません。 まめに陰部を消毒し、清潔に保っておくことが治療法(予防法)の一つにあげられます。 ある日突然、治まってしまうこともあるので、過度な心配は必要ありません。

子宮断端腫

避妊手術を行った犬で、中~高齢期に起こることがある疾患です。 とは言いつつもかなり稀な症例ですが・・・。 原因としては、避妊手術で子宮を摘出する際、子宮の一部が残っている場合に起こると「されています」。 「されています」と書いたのは、病院によっては卵巣のみ摘出する動物病院もあり、その病院で行ったメス犬が必ず子宮断端腫になるとは限らないからです。 おそらく、何らかの原因が加わってはじめて起こると考えられており、大抵は卵巣の一部が残ってしまっているのであろうと推測されています。

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避妊手術の際に残されてしまった子宮の一部に膿がたまり、陰部から膿が出てきます。 症状としては、子宮蓄膿症と酷似しており、食欲や元気などの一般状態が低下し、重篤な症状になることもあります。 治療は、全身麻酔下で開腹し、膿がたまった子宮を摘出する必要があります。

まとめ

膣炎に比べ、子宮断端腫の発生頻度は極めて低いと思いますので、陰部からおりものがたれていたとしても、避妊をしているのであれば、それほど心配する必要はありません。 ただし念のため、早めに受診することをお勧めします。

 
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