「最近、足先をしきりに舐めている」「お腹をかく回数が増えた」「顔まわりをこすりつけるようなしぐさをする」毎年、花粉が飛び始める季節になると、こうしたご相談が増えてきます。
人の場合は、くしゃみや鼻水といった症状が思い浮かびやすい花粉症ですが、犬や猫では皮膚のかゆみや赤みとして現れることが多いのが特徴です。
「季節の変わり目だから仕方ないかな」「少しかゆいだけかも」と様子を見ているうちに、かゆみが強くなったり、皮膚トラブルが長引いてしまったりするケースも少なくありません。
そこで今回は、花粉シーズンに増える犬・猫の皮膚トラブルについて、散歩・室内環境・シャンプーの見直しポイントをわかりやすく解説します。

■目次
犬や猫も花粉に反応することがありますが、人のように鼻水やくしゃみが目立つケースは多くありません。
その代わりに現れやすいのが、皮膚のかゆみや炎症です。
花粉は空気中を漂い、散歩中や外気に触れることで被毛や皮膚に付着します。
本来、皮膚には外からの刺激を防ぐ「バリア機能」が備わっていますが、乾燥、体質、加齢、もともとの皮膚トラブルなどがあると、このバリアが弱くなり、花粉の刺激を受けやすくなります。
▼乾燥対策についてはこちらで解説しています
そのため、アレルギー体質でなくても、皮膚が敏感な状態になっていると症状が出ることがあります。
犬では、足先・お腹・顔まわりに症状が出やすく、舐めたりかいたりする行動が増えがちです。
猫では、顔・首・耳まわりをかく、過剰にグルーミングをするといった形で現れ、気づいたときには毛が薄くなっていることもあります。
花粉による皮膚トラブルは、最初は「少しかゆそう」程度の軽い変化から始まることもあります。
ただし、その状態が続くと、次のような変化が見られることがあります。
・赤みや湿疹が出てくる
・フケが増える
・皮膚がベタつく、においが出る
特に注意したいのが「散歩のあとにかゆみが強くなる」「外出後に症状が目立つ」といったパターンです。
かゆみが続くと、かいたり舐めたりすることで皮膚を傷つけてしまい、そこに細菌や酵母(カビの一種)が増えて、二次感染を起こすことがあります。
こうなると、単なる花粉の刺激では済まず、治療が必要な皮膚炎へと進行してしまうこともあります。
花粉対策で大切なのは、体につけないこと、そして家の中に持ち込まないことです。
・散歩の時間帯を意識する
花粉は、晴れていて風のある日、そして午前中から昼過ぎにかけて多く飛散する傾向があります。可能であれば、風が落ち着いている時間帯を選ぶなど、無理のない範囲で工夫してみましょう。
・散歩コースの見直し
河川敷や草むら、公園の芝生などは、花粉が付着しやすい環境です。特に足先やお腹は地面に近く、花粉が直接付着しやすい部位です。
花粉シーズンは、舗装路中心のコースに変える、草地は通過だけにして滞在を短くするなどの工夫が有効です。
・洋服の着用について
犬の場合、散歩時に洋服を着せることで、体幹への花粉付着を減らせることがあります。
ただし、蒸れやすい子や皮膚が弱い子では、湿気がこもることでかゆみが悪化することもあります。
洋服を着せた場合は、帰宅後すぐに脱がせて皮膚を乾いた状態に戻すことが大切です。
・帰宅後のひと手間
散歩から帰ったら、玄関付近で足先・お腹・内もも・顔まわりをやさしく拭いてあげましょう。
ここで注意したいのが「こすりすぎ」です。
ゴシゴシ拭くと、皮膚のバリア機能を傷つけ、かえって刺激に弱くなってしまいます。
“落とす”というより、“そっと取り除く”イメージで行いましょう。
花粉は散歩中だけでなく、飼い主様の衣類や髪の毛、カーテンや床を通じて室内にも入り込みます。
犬や猫は床に近い位置で生活するため、床まわりの環境が特に重要です。
掃除機をかける際は、床だけでなくカーペットやソファも意識するとよいでしょう。
空気清浄機の活用も、花粉対策のひとつになります。
「室内だから安心」と思わず、家の中の環境にも目を向けてみてください。
「花粉を落とすために、頻繁に洗ったほうがいいですか?」というご質問をいただくことがあります。
シャンプーで花粉を洗い流すことには確かにメリットがありますが、洗いすぎは皮膚の乾燥やバリア機能の低下につながることがあります。
年齢や体質、もともとの皮膚状態によって、適切な頻度は異なります。
全身シャンプーではなく、部分洗いや拭き取りケアのほうが合っている場合もあります。
また、使用するシャンプー剤も重要です。低刺激タイプや保湿成分入りなど、状態に合ったものを選ぶ必要があります。
迷ったときは、自己判断せず動物病院で相談するのがおすすめです。
次のような場合は、家庭ケアだけでは不十分な可能性があります。
・かゆみが強く、眠れない様子がある
・赤みが広がっている
・掻き壊して出血している
・ベタつきや強いにおいがある
花粉がきっかけで症状が出ていても、他の皮膚病(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、寄生虫感染など)が隠れていることもあります。
▼アトピー性皮膚炎についてはこちらで解説しています
動物病院では皮膚の状態を確認し、必要に応じて検査や内服薬・外用薬を組み合わせた治療を行います。
「もう少し様子を見よう」と迷っているうちに悪化してしまうケースも少なくありません。
花粉シーズンの皮膚トラブルは、毎年繰り返すこともあります。
ですが、散歩後のひと手間や室内環境の見直し、シャンプー管理を整えることで、症状をやわらげられることも多くあります。
それでもかゆみが続く場合は、愛犬・愛猫からのSOSかもしれません。
「これって花粉のせい?」「この程度で相談していいのかな?」そう感じたときこそ、どうぞ遠慮なくご相談ください。
大切なご家族が、かゆみの少ない快適な春を過ごせるよう、一緒に考えていきましょう。
■関連する記事はこちらです
光が丘動物病院グループ
東京都練馬区に本院を置き、東京都内、埼玉県で4つの動物病院を運営しています
お問い合わせはこちら
■分院名をクリックすると各院のページに遷移します
練馬本院(東京都練馬区)
川口グリーンクリニック(埼玉県川口市)
とくまるクリニック(東京都板橋区)
月島クリニック(東京都中央区)
最終更新:2026年3月