「散歩の途中で急に立ち止まるようになった」
「家の中でも寝ている時間が増えた」
「立ち上がる時に時間がかかるようになった」
このような変化が見られると、「少し疲れているのかな」「年齢のせいかもしれない」と考える飼い主様も多いのではないでしょうか。
実際に、暑さや寒さ、気分、運動後の疲れなどによって、一時的に歩きたがらなくなることはあります。しかし、その一方で、関節や骨、背骨、神経の異常、内臓の病気などが原因となっていることもあります。
特に、急に歩かなくなった、足を引きずる、体を触ると痛がる、元気や食欲もないといった症状を伴う場合は、早めに原因を確認することが大切です。
今回は、犬が歩きたがらない時に考えられる原因や、自宅で様子を見られることが多いケース、早めに受診したいサインについて解説します。

■目次
犬が歩きたがらないときは、「歩かない」という様子だけでなく、歩き方や痛みの有無、全身状態の変化もあわせて確認しましょう。
次のような症状が見られる場合は、早めに動物病院へご相談ください。
・急に歩かなくなった、立ち上がれない
・足を引きずる、片足を浮かせている
・後ろ足がふらつく、足がもつれる
・抱っこや体を触ると痛がる、鳴く
・首や背中を動かしたがらない
・背中を丸めたまま動かない
・元気や食欲が落ちている
・呼吸が荒い、ぐったりしている
・嘔吐や下痢を伴っている
・事故や落下、激しい運動のあとから様子がおかしい
・子犬やシニア犬、持病のある犬に急な変化が見られる
犬が歩きたがらないからといって、必ずしも病気が原因とは限りません。環境や気分、一時的な疲れによって歩きたがらなくなることもあります。
例えば、次のような場合です。
・暑さや寒さ、雨、強い風を嫌がっている
・地面が熱い、冷たい
・苦手な音や車、人、ほかの犬がいる場所を避けている
・長時間のお出かけや運動のあとで疲れている
・新しい首輪やハーネス、洋服に慣れていない
休ませると普段どおりに戻り、元気や食欲、歩き方にも変化が見られない場合は、まずは自宅で安静にして様子を見てもよいでしょう。
ただし、地面が熱かった場合は肉球のやけど、足裏を気にしている場合は傷や異物の可能性があります。無理のない範囲で肉球の赤みや傷を確認し、痛がる場合や異常が見られる場合は動物病院へご相談ください。
犬が歩きたがらない背景には、関節や骨、背骨、神経、内臓など、さまざまな場所の異常が関係していることがあります。
◼︎ 関節や骨のトラブル
膝蓋骨脱臼や関節炎、靱帯の損傷、骨折などでは、歩くと痛みが出るため、足をかばったり、散歩を嫌がったりすることがあります。
また、寝起きの動きがぎこちない、片足を浮かせる、ソファや階段を避けるようになるといった変化が見られることもあります。
◼︎ 背骨や神経の病気
首や背中、腰に異常があると、痛みや神経への影響によって歩きたがらなくなることがあります。
代表的な病気のひとつが椎間板ヘルニアです。抱っこを嫌がる、首を動かしたがらない、背中を丸める、後ろ足がふらつく、足先を引きずるといった症状が見られ、進行すると自力で立てなくなることもあります。
そのほか、脳や脊髄、末梢神経の異常によって、足がもつれる、足に力が入りにくいといった症状が現れる場合もあります。
◼︎ 内臓の病気や全身状態の悪化
歩きたがらない原因が、足腰の異常とは限りません。
発熱や貧血、心臓や呼吸器の病気、腹痛などによって体力が低下し、動きたがらなくなることもあります。
この場合は、食欲低下や嘔吐、下痢、呼吸の変化、水を飲む量の変化など、歩き方以外の症状を伴うことがあります。
◼︎ 加齢による筋力低下や慢性的な痛み
シニア犬では、筋力の低下や関節のこわばりによって、以前より歩く距離が短くなったり、立ち上がるまでに時間がかかったりすることがあります。
ただし、「年齢のせいだから仕方がない」と決めつけるのは禁物です。関節や神経の病気が隠れていることもあり、痛みの治療や体重管理、滑りにくい床への変更などによって、歩きやすさが改善する場合もあります。
犬が歩きたがらないときは、症状がいつから始まったのか、どのような場面で見られるのかを確認しておくと、診察の手がかりになります。
例えば、次のような点を確認しておきましょう。
・いつから症状が始まったか
・どのような場面で歩かなくなるか
・食欲や元気、排泄に変化はないか
・嘔吐や下痢、呼吸の異常はないか
・事故や落下、激しい運動などの心当たりはないか
また、歩いている様子や立ち上がるときの動きを動画で撮影しておくことも役立ちます。動物病院では緊張して普段とは違う歩き方になることもあるため、ご家庭での様子が診断の参考になります。
一方で、無理に歩かせたり、痛がる場所を何度も曲げ伸ばししたりすることは避けてください。
強い痛みやふらつきがある場合は、できるだけ安静にし、移動は必要最小限にとどめたうえで、早めに動物病院を受診しましょう。
犬が歩きたがらない場合は、まず歩き方や姿勢、足の着き方、関節の動きなどを確認し、整形外科・神経・内科のどこに原因がありそうかを整理していきます。
関節や骨の異常が疑われる場合は、痛みのある場所や関節の動きを確認し、必要に応じてレントゲン検査を行います。
神経の病気が疑われる場合は、神経学的検査で足の反応や力の入り方、反射、麻痺の有無などを確認します。さらに詳しい評価が必要な場合には、疑われる病気や部位に応じてCTやMRIを使い分けます。
また、食欲低下や呼吸の異常など全身症状を伴う場合は、血液検査や超音波検査などを行い、内臓の病気が隠れていないかを確認します。
「いつ相談すればよいのか分からない」という段階でも構いません。気になる症状が続く場合は、当院までお気軽にご相談ください。
犬が歩きたがらない理由には、天候や一時的な疲れだけでなく、関節や背骨、神経、内臓の病気などが関係していることがあります。
元気や食欲があり、休むと普段どおりに戻る場合は様子を見られることもありますが、急に歩かなくなった、痛がる、ふらつく、全身状態も悪いといった場合は早めの確認が必要です。
「受診した方がよいのか分からない」と迷う場合も、一人で判断する必要はありません。気になる様子が続くときは、お近くの光が丘動物病院までお気軽にご相談ください。
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最終更新:2026年7月