毎日のお散歩は、愛犬の健康維持やストレス解消に欠かせない大切な時間です。
しかし、お散歩には目に見えないリスクが潜んでいることもあります。それが「ノミ」や「マダニ」といった外部寄生虫です。
「うちは都会だから安心」「草むらには入らないから大丈夫」と思われる飼い主様も多いかもしれません。ですが、ノミやマダニは特別な場所にだけいるわけではなく、身近な環境にも潜んでいます。そのため、知らないうちに愛犬についてしまうこともあります。
特に最近は気温の変化や都市環境の影響により、寄生虫の活動時期や生息範囲が広がっています。そのため「特別な場所に行かなければ大丈夫」とは言い切れない場面も増えています。
だからこそ、まずはノミやマダニがどのような場所に潜みやすいのかを知り、愛犬の生活スタイルに合わせて対策を考えていくことが大切です。
この記事では、ノミ・マダニの基礎知識から、散歩コースごとのリスク、予防の考え方までをわかりやすくご紹介します。

■目次
ノミとマダニは似ているようで、生息環境や特徴が異なります。
まず、ノミは屋内外どちらにも存在し、犬の体に寄生するだけでなく、床やカーペット、ソファなどにも潜みます。
そのため、一度家の中に入り込むと、目に見えない場所で増え続け、完全に駆除するのが難しくなることもあります。
一方でマダニは主に屋外に生息しており、草むらや土、落ち葉の中などで待ち伏せをして、動物に付着します。
散歩中に足やお腹、耳の周りなどに付くことが多く、気づかないまま吸血されてしまうケースもあります。
活動時期は春から秋が中心ですが、近年は暖かい日が続くことで冬でも活動が見られることもあります。
ノミやマダニに寄生されると、次のような影響が出ることがあります。
・かゆみや皮膚炎
・大量寄生による貧血
・感染症(マダニが媒介するウイルスや細菌)
特にマダニは、人にも感染する病気を媒介することがあるため、犬だけでなく飼い主様にとっても注意が必要です。
ノミ・マダニのリスクは、散歩する場所によって大きく変わります。
散歩コースごとの特徴を整理すると、以下のようになります。
🔶 公園(芝生や草地)
一見整備されていて安全に見えますが、他の犬が多く集まるためノミのリスクがあり、草むらにはマダニが潜んでいる可能性があります。
🔶 河川敷や土手
自然豊かな河川敷は、湿気を好むマダニにとって最高の環境です。また、タヌキやイタチといった野生動物が出入りすることも多く、それらの動物が運んできたマダニに寄生されるリスクが非常に高くなります。草丈が長い場所を歩く際は、特に注意が必要です。
🔶 住宅街(舗装道路)
「うちはアスファルトしか歩かないから」という場合でも、油断は禁物です。電柱の根元のわずかな草むらや、近所の家の庭木から張り出した枝など、接触する機会は意外と多いものです。また、散歩中に出会う「わんちゃん友達」との挨拶の際に、ノミが飛び移ってくることもあります。
🔶 山やアウトドア環境
キャンプやハイキングなど、本格的な自然の中へ行く場合は、最大限の警戒が必要です。短時間の滞在でも、数十匹のマダニに一気に寄生されてしまうケースもあります。「たまにしか行かないから」という時こそ、事前のしっかりとした予防が欠かせません。
意外と盲点なのが、ほとんど外に出ないわんちゃんや、一緒に暮らしている猫ちゃんです。
・飼い主様が外から帰ってきた際、ズボンの裾や靴にノミやマダニが付着して家の中に持ち込んでしまう。
・ベランダに遊びに来た野良猫がノミを落としていく。
・多頭飼いの場合、散歩に行く子が外から持ち帰ってしまう。
このような経路で感染するケースも少なくありません。「外に出ないから予防は不要」と決めてしまうのは、実はとてもリスクが高いことなのです。
予防において最も大切なこと、それは「途切れさせないこと」です。
かつてはフィラリア予防と同じ期間(春から秋まで)だけ行うのが一般的でしたが、現在は「一年を通した予防(通年予防)」が強く推奨されています。
それは、ノミやマダニのサイクルを完全に断ち切るためです。
ノミの寿命は短いですが、その間に数百個の卵を産みます。もし冬の間に予防を休んでしまい、その隙に一匹でもノミが家の中に入り込んだらどうなるでしょう。
暖かい室内で卵が孵り、春になる頃には家の中がノミの巣窟になっていた……という事例も実際にあります。
「やったりやらなかったり」という不完全な予防が、一番リスクを高めてしまいます。常に予防薬の効果が持続している状態を作ることで、いつどこで虫に遭遇しても、寄生が定着する前に退治することができるのです。
現在、動物病院で処方される予防薬にはさまざまなタイプがあります。それぞれにメリット・注意点があるため、わんちゃんの性格や体質、飼い主様のライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
1. スポットタイプ(滴下薬)
首筋(肩甲骨の間など)の皮膚に、直接お薬を垂らすタイプです。
メリット: お薬を飲むのが苦手な犬でも簡単に投与できます。
注意点: 投与直後はベタつきがあったり、乾くまで多頭飼いの子が舐めないように注意したりする必要があります。また、シャンプーのタイミングを調整しなければならない製品もあります。
2. 錠剤タイプ
味や香りがほとんどない、小さな粒状の飲み薬です。
メリット: 特定の味に敏感な子や、食物アレルギーがある子でも安心して服用できます。非常にコンパクトなため、少量のウェットフードや大好きな食べ物に包んで隠して飲ませるのに最適です。
注意点: お薬を飲み込むのが苦手な子や、口を開けさせてくれない子の場合は、飲ませる際に少しコツが必要です。
3. 注射タイプ
動物病院にて、獣医師が直接接種するタイプの予防方法です。
メリット: 一度の注射で数ヶ月から、種類によっては最大一年近く効果が持続します。毎月のお薬を「つい忘れがち」という飼い主様の負担を大幅に軽減でき、投薬忘れによる感染リスクをゼロにできます。
注意点: 接種のために来院していただく必要があります。また、その日の体調が万全であることが前提となるため、診察を受けてからの実施となります。
4. チュアブルタイプ(おやつ型)
お肉のようなフレーバーがついた「おやつ」の形をしたお薬です。
メリット: 嗜好性が非常に高く、おやつタイム感覚で楽しく予防ができます。体の表面にお薬が残らないため、投与直後から抱っこやシャンプー、水遊びなどが可能です。
注意点: 食物アレルギー(牛肉・鶏肉など)がある子は、原材料に注意が必要です。
どれを選ぶかは、以下のような点を総合的に考えることが重要です。
・投薬のしやすさ
・シャンプーや水遊びの頻度
・多頭飼育かどうか
・飼い主様が管理しやすいか
例えば、シャンプーが多い場合は外用タイプより内服タイプが向いていることがありますし、薬を嫌がる場合は別の選択肢を検討する必要があります。
大切なのは「どの薬が一番良いか」ではなく「その子にとって続けやすいかどうか」です。
ノミ・マダニ対策とあわせて、この時期に忘れてはいけないのがフィラリア予防です。フィラリア症は、蚊を介して感染し、寄生虫が心臓や肺の血管に寄生する病気です。重症化すると体に大きな負担がかかりますが、適切な時期に予防を続けることで防げる病気でもあります。
フィラリア予防では、始める時期と終える時期がとても大切です。そのため、地域の気候や生活環境に合わせて、適切なタイミングで投薬していく必要があります。
現在は、ノミ・マダニ予防とフィラリア予防をまとめて行いやすい、いわゆる「オールインワンタイプ」のお薬もあります。
当院では、こうした予防を無理なく続けられるよう、飼い主様のご負担もふまえながら、その子に合った方法をご提案しています。春は、ノミ・マダニ対策とあわせて、フィラリア予防も見直すよい機会です。
また、3月1日〜6月末日までの期間、フィラリア検査と健康診断をあわせて受けていただける「健康診断キャンペーン」を実施しています。詳しくはスタッフまでお気軽にお声がけください。
▶︎「フィアリアキャンペーン」の詳細についてはこちらをご覧ください
ノミやマダニは特別な場所だけにいるものではなく、日常の散歩の中にも潜んでいます。
散歩コースによってリスクは変わり、室内中心の生活でも完全に防げるわけではありません。
大切なのは、生活環境に合った予防を選ぶこと、無理なく継続すること、そして迷ったときには早めに相談することです。
愛犬が安心して散歩を楽しめるように、日常の中で無理なく続けられる予防を取り入れていきましょう。
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最終更新:2026年4月