「最近、水を飲む量が増えた気がする」「水皿がすぐ空になる」「おしっこの量も増えているような…」このような変化に気づき、不安になったことはありませんか?
犬の飲水量は、気温や運動量、食事の内容などによって変わることがあります。そのため、一時的に水を多く飲んでいるだけであれば、必ずしも病気とは限りません。
しかし、急に水を飲む量が増えた場合や、尿の量が増える、体重が減る、元気がないといった変化も見られる場合は、体の中で何らかの異常が起きている可能性があります。
今回は、犬の正常な飲水量の目安や「飲みすぎ」と判断するポイント、考えられる原因、受診の目安についてわかりやすくご紹介します。

■目次
犬の1日に必要な水分量は、体重1kgあたりおおよそ50〜60ml程度とされています。
たとえば、体重ごとの目安は次の通りです。
・5kgの犬:約250〜300ml
・10kgの犬:約500〜600ml
ただし、この量はあくまで目安です。
ドライフードを中心に食べている犬は、食事からとれる水分が少ないため、水を飲む量がやや多くなることがあります。
一方で、ウェットフードや手作り食など水分を多く含む食事を食べている場合は、飲水量が少なく見えることもあります。
また、暑い日や運動のあと、長めの散歩をした日には、体温調節のために水を多く飲むことがあります。こうした変化は自然な反応です。
大切なのは、一般的な目安だけで判断するのではなく、普段と比べてどのくらい変化しているかを見ることです。
犬の飲水量が、体重1kgあたり1日100ml以上になる場合は、多飲の可能性があります。
たとえば、5kgの犬であれば1日500ml以上、10kgの犬であれば1L以上飲んでいる場合は、少し多いと考えられます。
ただし、1日だけ多く飲んだからといって、すぐに病気と決めつける必要はありません。暑い日や運動量が多かった日、塩分の多いものを食べた日などは、一時的に飲水量が増えることがあります。
一方で、次のような様子が続く場合は注意が必要です。
・水皿がすぐ空になる
・何度も水を飲みに行く
・夜中にも水を飲むようになった
・尿の量や回数が増えた
・トイレの失敗が増えた
飲水量が増えているときは、尿の量も増えていることが多いため、おしっこの回数や量もあわせて見ておくことが大切です。
水を多く飲んでいても、元気や食欲があり、気温や運動など理由が思い当たる場合は、数日ほど様子を見ながら飲水量を測ってみてもよいことがあります。
ただし、次のような変化がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
・水を大量に飲み、ぐったりしている
・食欲が落ちている
・体重が減ってきた
・嘔吐や下痢がある
・尿の回数が極端に増えている
・トイレに間に合わず漏らすようになった
・未避妊のメス犬で元気がなく、陰部から分泌物がある
「水をよく飲むだけだから」と様子を見すぎず、ほかの症状がないかも確認することが大切です。
犬が水をたくさん飲むようになる背景には、病気が関係していることがあります。
🔸 腎臓の病気
腎臓には、体の中の老廃物を尿として外に出したり、水分のバランスを整えたりする役割があります。
腎臓の働きが落ちると、尿をうまく濃縮できなくなり、薄い尿がたくさん出るようになります。その結果、体から出ていく水分を補うために、水をたくさん飲むようになります。
🔸 ホルモンの病気
糖尿病や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)など、ホルモンに関係する病気でも飲水量が増えることがあります。
糖尿病では、血液中の糖が増えることで尿の量も増え、その影響でのどが渇き、水を多く飲むようになります。
食欲があるのに体重が減る、尿の量が増えるといった変化を伴うこともあります。
副腎皮質機能亢進症は、体内のホルモンが過剰に分泌される病気です。
水をよく飲む、尿が増える、食欲が増える、お腹が張って見える、毛が薄くなるといった変化が見られることがあります。
🔸 子宮の病気
未避妊のメス犬では、子宮蓄膿症という病気にも注意が必要です。
これは子宮の中に膿がたまる病気で、命に関わることもあります。
水をよく飲む、元気がない、食欲が落ちる、発熱、嘔吐、陰部から膿のような分泌物が出るといった症状が見られることがあります。
▼子宮蓄膿症についてはこちらで解説しています
水を多く飲む原因は、病気だけとは限りません。
次のような場合でも、一時的に飲水量が増えることがあります。
・暑い日が続いている
・散歩量や運動量が増えた
・暖房で室内が乾燥している
・ドライフード中心の食事をしている
・環境の変化でストレスがかかっている
ただし、理由が思い当たらないのに急に飲水量が増えた場合や、数日以上続く場合は注意が必要です。
飲水量が気になるときは、まずご自宅で「実際にどれくらい飲んでいるのか」を確認してみましょう。
たとえば、朝に決まった量の水を入れ、翌朝までにどれくらい減ったかを見る方法があります。こぼした分や、散歩中に飲んだ分がある場合は、おおよその量でもよいので記録しておきましょう。
複数の水皿を使っている場合は、合計の量を確認します。
また、多頭飼育の場合は、どの子がどれだけ飲んでいるのか分かりにくいことがあります。
できるようであれば、一時的に水皿を分けて観察すると把握しやすくなります。
できれば、数日〜1週間ほど記録しておくと、動物病院での診察時に状況を伝えやすくなります。
動物病院では、まず飲水量や尿量、食欲、体重の変化について詳しく確認します。そのうえで、必要に応じて検査を行い、原因を調べます。
主に行う検査としては、血液検査と尿検査があります。
血液検査では、腎臓や肝臓の状態、血糖値、炎症の有無などを確認します。糖尿病や腎臓病、ホルモンの病気が疑われる場合にも重要な検査です。
尿検査では、尿の濃さや糖の有無、感染や結晶がないかなどを確認します。飲水量が増えているときは、尿が薄くなっていることがあり、腎臓やホルモンの異常を見つける手がかりになります。
必要に応じて、超音波検査で腎臓、膀胱、子宮、副腎などの状態を確認することもあります。
水を飲みすぎる原因は一つではないため、検査結果をもとに原因を見極め、その子に合った治療方針を考えていきます。
犬が水をたくさん飲むようになったとき、暑さや運動、食事内容による一時的な変化であれば心配しすぎる必要はありません。
しかし、体重1kgあたり1日100ml以上飲んでいる場合や、急に飲水量が増えた場合、尿量の増加や体重減少、元気の低下などを伴う場合は、病気が隠れている可能性があります。
飲水量の変化は、飼い主様だからこそ気づける大切なサインです。
「少し増えただけかも」と迷う場合でも、記録をつけておくことで病気の早期発見につながります。
気になる変化がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
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最終更新:2026年5月