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愛犬に嘔吐や下痢が見られる…危険な病気のサインかも│犬の胆嚢粘液嚢腫について

2023.03.10
犬の病気

胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)は、粘度が上がって排泄が滞った胆汁が胆嚢に蓄積する病気です。
無症状の犬も珍しくありませんが、元気そうに見えても胆管炎や総胆管閉塞、胆嚢破裂などのリスクが高く、特に胆嚢破裂をした場合、すぐに緊急治療をしても亡くなってしまう場合もあります。
犬の胆嚢粘液嚢腫は超音波検査で比較的簡単に診断できます。
定期健診で早期発見を心がけましょう。



原因|はっきりとした原因はわかっていない


肝臓で作られた消化酵素は、胆嚢に溜められて濃縮され胆汁になり、必要に応じて消化管内に排泄されます。
正常であればサラサラしている胆汁ですが、胆嚢粘液嚢腫では粘度が上がってゼリー状になり、胆嚢内に滞ります。
この状態が胆嚢粘液嚢腫です。

原因については、今のところはっきりとわかっておらず、見解も分かれていますが、高脂血症を起こしやすいとされるシェットランド・シープドックや、アメリカン・コッカー・スパニエルミニチュア・シュナウザーなどで多いという意見もあります。

また、甲状腺機能低下症副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などとの関連も疑われています。

 

症状|無症状から重度まで様々。胆嚢破裂ではショック症状も


無症状で健康診断や他の病気の検査時に偶然見つかるものから、黄疸嘔吐下痢食欲不振などの症状が見られるものまで、様々です。

最も危険なのは胆嚢破裂を起こした場合です
これに関連して重度の腹膜炎や膵炎が起こると、激しい痛み、発熱、ショック症状などが認められます

 

診断|超音波検査で特徴的な陰影を確認


血液検査では胆嚢粘液嚢腫に特異的な所見は見られませんが、ALPやGTP、コレステロール、血清総胆汁酸、ビリルビンなどの値が上昇することがあります。

超音波検査ではキウイの輪切りのような特徴的な陰影が見られます。
この特徴的な所見が、本病の診断基準になっています。

 

治療|基本は外科治療


治療では、外科手術で胆嚢を切除することが基本になります
手術のリスクは年齢や体調、基礎疾患の有無により異なるため、内科治療で経過を見る場合や、基礎疾患の治療を先行することもあります。

胆嚢破裂を起こした場合は、緊急手術が必要です
非常に危険な状態ですので、治療の甲斐なく亡くなってしまうことも少なくありません。

 

予防|定期検査で早期発見を


胆嚢粘液嚢腫の怖いところは、症状が出ないことも珍しくない点です

症状があってもわかりにくいため、健康そうに見える犬でも気がつかない間にどんどん進行して、ある日突然、胆嚢破裂を起こして亡くなってしまうかもしれません。はっきりとした原因がわかっておらず、明確な予防法がないため、定期健診にて早期発見を心がけましょう。

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