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別の病気が隠れていることも│犬のマラセチア性皮膚炎

2022.11.11
犬の病気

 マラセチア性皮膚炎は、マラセチアの異常な増殖を原因に、皮膚のベタつき、赤み、ふけや体臭などが起きる犬の皮膚病です。

犬のマラセチア性皮膚炎は、クッシング症候群などといった基礎疾患や、脂漏症やアトピー性皮膚炎などが関係していると考えられています。また、梅雨から夏にかけては発生が増え、悪化しやすいとされています。



原因|マラセチアの過剰増殖


マラセチア性皮膚炎の原因であるマラセチアは、健康な犬の皮膚や耳に常在している真菌です。

通常はいても問題を起こしませんが、過剰に増殖することで皮膚に炎症を起こします

マラセチアは外耳炎の原因菌でもあります。

マラセチアは皮脂をエサにするため、皮脂の分泌が増える原因があると本病に罹りやすくなります。

特に皮脂の分泌が多い脂漏症の犬では繰り返し再発しがちです。

 

また、皮膚のバリア機能が低下するアトピー性皮膚炎内分泌疾患(クッシング症候群、甲状腺機能低下症)基礎疾患のある免疫が弱っている犬免疫が未熟な子犬などでも発症しやすいと考えられています。

真菌は高温多湿な環境を好むため、梅雨から夏にかけて発生しやすく、悪化しやすいのが特徴です。

どの犬でも発生しますが、シーズーやコッカースパニエル、パグなどでよく見られます

犬から犬、犬から人にうつるものではありません。

 

症状|皮膚のベタつき・赤み・ただれ・特有のニオイ


皮膚にベタつき赤みただれフケなどの症状や、特有の発酵臭のような体臭が生じます。

症状は脇の下、股、指の間など熱や湿気がこもる場所に起こりやすく、悪化すると首や足、お腹全体に広がります。

マラセチア性の外耳炎でも同じような症状が出ます。

 

診断|院内の顕微鏡検査で比較的簡単に診断できる


患部に当てたスライドグラスやセロハンテープを染色したものを顕微鏡で観察します。

マラセチアは特徴的な雪だるまのような形をしているため、院内で簡単に診断することができます。

なお、他の疾患が発症に関係していると考えられる場合は、追加検査を提案することもあります。

 

治療|抗真菌薬の内服薬や外用薬、シャンプーなど


抗真菌薬の内服薬用シャンプーや軟膏など外用薬による治療を行います

他には、皮脂のコントロールや皮膚バリア機能改善のために、薬浴などスキンケアを行うこともあります。

原因となる病気がほかにある場合は、それに対する治療も必要です。

 

予防|基礎疾患の治療やスキンケア


予防のためには、皮膚のコンディションを整えるためにもスキンケアが重要です。

マラセチア性皮膚炎を発症する裏には、何か別の病気が隠れていることもあります

トータルで健康的な生活を送るためにも、定期検査により早期発見と早期治療を心がけましょう。

 

皮膚の病気は再発が多く、長い付き合いになることも多々あります。

獣医師と相談しながら、飼い主と犬、それぞれに合った治療や予防を考えていきましょう。

 

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