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たかが便秘と侮らないで!│猫の巨大結腸症について

2023.03.16
猫の病気

巨大結腸症は、結腸が異常に拡大し機能が低下した結果、非常に頑固な便秘が引き起こされる病気です。
犬ではあまり見られませんが、猫では比較的多く見られます。
長期にわたると食欲不振や脱水、嘔吐などを起こし、腸が破れた場合は急性のショック症状を起こすこともあります。
巨大結腸症は便秘の原因になりますが、便秘もまた、この病気の原因になり得ます。
このため、愛猫の便の状態は注意して見てあげましょう。



原因|慢性の便秘や腫瘍、骨盤骨折など


先天性(生まれつき)であるケースもありますが、ほとんどは後天性と考えられています。

慢性の便秘で常に便が留まると、結腸が伸びた状態が続き、結腸の運動機能が低下し、戻らなくなることがあります。
猫では便が留まる理由がわからないことも多いものの、骨盤の形態異常や骨折腫瘍神経の障害薬剤不適切な飼育環境などが考えられています。

 

症状|重度の便秘。嘔吐や元気食欲の低下も


巨大結腸症を発症すると重度の便秘が引き起こされます。
具体的には、何度もトイレに行き排便姿勢をとるも便が出なかったり、出たとしても硬い少量便だったり、粘液しか出なかったりします

便秘が続くと嘔吐をしたり食欲がなくなったり、体重が減ったりもします
また、下腹部に触った時に硬い便を感じられる場合もあります

 

診断|触診と画像診断


肛門から指を入れる直腸検査で、肛門近くの便を確認することができます。
レントゲン検査では、拡張した結腸とそこに溜まっている便を見ることができます。

巨大結腸症の診断では、原因を探ることも重要です。
このため、血液検査や超音波検査なども含めて総合的に診断します。

 

治療|便秘に対する内科治療。外科治療が必要な場合も


慢性的な便秘が原因の場合は、まずは便秘の治療から行います
便秘の治療では、便を出しやすくするために、便をやわらかくする薬や、滑りをよくする薬を内服します。
同時に食事療法点滴を行うこともあります。
どうしても便が出ない場合は、浣腸で今ある便を出す場合や、摘便といって手で便を出す処置を行う場合があります。

これらの処置を行っても症状が改善されない場合、または再発を繰り返す場合、結腸の運動機能が戻る見込みがない場合は、外科手術を行う場合もあります

 

予防|たかが便秘と放置しない


便秘は巨大結腸症の症状でもありますが、原因にもなります。
このため、便秘を放置しないことが予防につながります

また、交通事故や落下による骨盤骨折は巨大結腸症の原因になり得ますので、室内飼いを徹底することも予防につながるでしょう

たかが便秘と様子を見続けていると、巨大結腸症になってしまうこともあるので、便の様子はよく観察して、気になることがあればご相談ください。

■猫の便秘についてはこちらでも解説しています

 

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<参考文献>

Robert W Bertoy. Megacolon in the cat. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2002 Jul;32(4):901-15.

R J Washabau, D Holt. Pathogenesis, diagnosis, and therapy of feline idiopathic megacolon. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 1999 Mar;29(2):589-603.

 
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