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前庭疾患

前庭とは耳の中の一番奥の内耳にあります。

前庭は「卵形嚢(らんけいのう)」と「球形嚢(きゅうけいのう)」と「半規管(はんきかん)」からなり、卵形義と球形には炭酸カルシウムでできた耳石が存在し、水平方向や重力の方向を感知します。

また、半規管はリンパ液で満たされた3つの管が互いにほぼ直角に交わったもので、「三半規管」ともいわれています。頭を動かすと管の中のリンパ液が動き、それに反応して神経伝達がおこなわれ、頭がどの方向に動いているのかを脳に伝えます。

よって、前庭は姿勢や体のバランスを保つことで平衡感覚を維持する働きをする大切な器官で、この器官の異常でうまく姿勢を保てない病態を前庭疾患と言います。

前庭疾患の原因は?

前庭疾患の原因として、内耳炎が最も多いとされています。

また、主として突然、しかも中年~老齢の時期に起こる原因不明の特発性というものも次に多いと言われており、内耳炎などの原因がなかった場合もしくはレントゲン検査、MRI検査、CT等を行い脳に異常がない場合、特発性と診断されます。

前庭疾患の症状は?

前庭疾患の症状として、よろめく、まっすぐ歩けない、首をかしげる、目が左右上下に小刻みに動く(眼振)、吐き気などがみられます。

前庭疾患の治療方法は原因が内耳炎の場合、抗生物質の投薬、耳の洗浄を行います。

もしくは慢性的に炎症が起こっている場合は外科的に内耳の奥を切り開く手術が必要になることもまります。しかし、特発性の場合は治療方法はありませんが、緩やかに症状が改善していくこともあると言われています。

よろめいて転倒してしまう場合は、倒れた時に外傷を負わないように角のある家具をやわらかいものでカバーしたり、できる限り周りに物を置かないように広い場所を設けます。

また、寝たきりになると床ずれが出来てしまうことも多くなります。そのため時間帯によって寝返りをさせたり、寝床をふかふかにして床ずれを軽減させましょう。

前提疾患の症例

13歳の雄のミニチュアダックスが倒れてしまい立ち上がれなくなったと来院されました。

症状は右耳を下にして頭が45°程傾いてしまっており、眼球のゆれ(眼振)もみられました。昨夜からの症状で食欲もないようでした。

また、以前から慢性的に外耳炎を患っており、今回も右耳に外耳炎を認めました。

今回の症状は外耳炎が内耳まで波及し、前庭疾患を引き起こしたと考えられました。

 高齢で食欲も落ちてしまっていたため、外耳炎治療と共に注射で前庭疾患の治療を数日連続して行いました。

翌日には眼振は落ち着き、頭の傾きも3日後には大分改善しました。その後も内服治療をしばらく継続して落ち着いています。

 その後は耳のケアもこまめにしてもらい、状態は安定しています。

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