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フェレットの副腎疾患

副腎とは、フェレットを含む哺乳類が左右にひとつずつ、合計ふたつ持っている小さな臓器で、さまざまな種類のホルモンを作っています。ホルモンの中でも性ホルモンを過剰に作ってしまうのが、フェレットの副腎疾患の特徴です。

あらゆる年齢のフェレットでみられ、発情期(冬から春にかけて)の発症が多く、脱毛がその他の症状を伴いながら進行します。

フェレットの副腎疾患の原因は?

副腎疾患の原因は、副腎の腫瘍や過形成です。

これには遺伝的要因と未熟期の性腺摘出の2つの要因が大きく関与していると言われています。

早期の不妊は大人になってから、ホルモンのバランスを崩しやすくなる傾向にあり、それがきっかけで副腎が大きくなってしまうと考えられています。

フェレットの副腎疾患の症状は?

脱毛は、尻尾の付け根や尻尾全体から始まります。

次第に背筋や脇腹に沿って頭方に徐々に進行し、最終的には四肢、顔面以外すべてに脱毛が広がります。多くの症例では患部に痒みはみられませんが、一部の個体ではフケや痒みを伴うこともあります。

オスでは生殖器官である前立腺の一部が膨らんでくることがあります。前立腺は尿道を取り巻くようにして存在しているため、尿道が圧迫されて排尿障害が生じます。

メスでは外陰部が大きく腫脹し、薄い粘液が排泄されます。避妊手術時の子宮の切断部に腫瘍や粘液腫(子宮断端腫)を形成します。

女性ホルモン(エストロジェン)の骨髄への長期間の作用によって、骨髄の造血能力に障害が発生し、貧血が発生することもあります。

その他、攻撃性が増加したり、頻回にマーキングを行うなどの異常行動や、筋肉の委縮による体重減少、削痩、後肢の不全麻痺などがみられます。

フェレットの副腎疾患の治療は?

副腎疾患は進行が緩やかなことが多いため、疑いがあってもすぐには治療を行わず経過観察を行うことも少なくありません。

治療には、異常副腎を摘出する外科手術とホルモンを抑える内科治療の2つがあります。

内科的な治療としては、性ステロイドホルモン合成を阻害する薬などを投与します。ただし、投薬直後は一時的な症状の悪化を認めたり、症状の改善が認められるのに1~2ヶ月かかることもあります。

多くは症状が再発するため、通常生涯投与を続けます。

フェレットの副腎疾患の症例

6歳 フェレット

全身の脱毛

身体検査では脱毛に加え、陰部の腫大が認められました。

副腎疾患を疑い、エコー検査を行いましたが両側とも軽度の腫大をしていました。片方のみ顕著に腫大している場合は外科手術が適用となりますが、両側とも過形成を起こしている可能性がありましたので内科的なホルモン剤投与からスタートし、定期的にエコー検査で副腎の急速な増大がないかチェックを行っています。

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