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甲状腺能低下症

甲状腺は頸部にある2葉の腺です。甲状腺から産生される、甲状腺ホルモンは体内の多くの代謝経路に影響を与えます。

一般的に、甲状腺ホルモンは、体の代謝率または代謝速度を調節します。

甲状腺能低下症の症状は?

甲状腺機能低下症とは甲状腺機能の低下により、この甲状腺ホルモンが足りなくなる病気です。

甲状腺機能低下症の犬の95%以上は、甲状腺自体の破壊が原因で起こります。いくつかのペットでは脳下垂体が関連している場合があります。

この病気は猫より犬で多く認められ、4~10歳の犬で最も一般的にみられます。通常は中型~大型犬で発生し、トイ種や小型犬では稀です。

甲状腺ホルモンの欠乏は、すべての臓器系の機能に影を及ぼすため症状は様々です。

  • スタミナの減少
  • 睡眠時間の増加
  • 寒さに弱くなる
  • 乾いた被毛や皮膚
  • 鼻づらの白髪
  • 脱毛
  • ラットティルと呼ばれる尾の脱毛
  • 発毛が遅い
  • 繰り返す皮膚感染
  • 皮膚膳黒い色素が現れる

 


尾の脱毛

 

顔が腫れたようになり、雌では発情のサイクルが不順になり、そしてまた受胎率も低下します。雄では睾丸が萎縮して雌に対する興味が少なくなります。

これらの症状はいずれも「年のせい」として片づけられてしまいがちです。

診断は甲状腺関連ホルモン(甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモン)を測定することで行われます。しかし、ホルモン測定だけでは正確に甲状腺機能低下症を診断することが難しいケースが多いです。

症状と血液検査の結果を獣医師が総合的に判断して治療を行う必要があります。

甲状腺能低下症の治療は?

甲状腺ホルモンを増加させるか、または不足を補うことが治療法となります。

サイロキシン(T4)は犬で最もよく用いられる補充用の甲状腺ホルモンです。治療の効果は症状の改善具合で評価します。

被毛や体重の変化が評価できる、4~8週間は治療を行うべきです。血清中の甲状腺ホルモン濃度も用量に調整の必要があるかどうかを確認するために測定されます。

治療は一般には生涯にわたり継続します。

甲状腺機能低下症の症例

13歳 トイプードル

主訴:脱毛、活動性の低下

身体検査:軽度の肥満と体幹部の脱毛

血液検査を行ったところ中性脂肪・コレステロールの上昇、肝数値の上昇があり、エコー検査では胆嚢内の流動性の低下(胆泥症)を認めました。

追加検査の甲状腺測定では甲状腺ホルモンの分泌低下と甲状腺刺激ホルモンの上昇があり、ホルモン剤の投与を開始しました。治療開始後は元気は回復し皮膚症状も良化がみられています。

※何らかの疾患が基礎にあり、甲状腺機能が一時的に抑制されている場合もあります。甲状腺機能低下と診断するには血液検査、エコー検査、各種ホルモン検査などを行う必要があります。

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