犬のジアルジア症は、ジアルジアと呼ばれる原虫が小腸に寄生することで、様々な症状を起こす寄生虫症です。
感染した犬の糞や尿を摂取することにより感染します。また、水を介してもうつります。
主に子犬に寄生すると、下痢や体重の減少、発育不良などを引き起こします。
ジアルジア症は成犬での発症は少なく、幼犬ではおもに水様性および粘液性の下痢が見られ、白または黄土色っぽい脂肪便(脂質を消化吸収できずに排出)のこともあります。
食欲があるにもかかわらず体重が減少していくのが特徴です。多数飼育している場所で、集団感染がしばしば見られます。
ジアルジアは根絶するのが難しい寄生虫です。いくつかの薬剤に耐性となることがあり、また、宿主のもつ疾病などが虫体の排除を困難にします。
投薬治療では数を減らすことしかできませんが、自身の免疫力があればシスト(虫卵のようなもの)から栄養体(成虫のようなもの)になるのを防ぐことができます。
ジアルジアのシストは環境の影響に対してかなりの抵抗性を示し、犬や人に感染する際少しのシストしか必要としないため、再感染が容易に起こります。
6カ月 猫
慢性的な下痢
一週間ほど下痢が続いているとのことで来院しました。若齢での下痢は寄生虫感染が起きていることが多いため、まず糞便検査を実施しました。するとジアルジアという原虫が確認されました。
そのため抗原虫薬のメトロニダゾールを二週間継続して投与し、再検査となりました。投薬後一週間ほどで便は硬くなっていったそうです。二週間後の検査では糞便検査で異常は認められず、便の状態も正常に戻っていたので治療は終了となっています。
便の硬さがもどっても、ジアルジアが潜伏していたり、また飼育環境中に存在していたりすることがあります。便が途中でよくなったからといって途中で投薬をやめることがないようにしてください。
ジアルジア成虫