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肺高血圧症

肺高血圧症とは、心臓から肺へ向かう動脈(肺動脈)の抵抗が高くなることによって引き起こされます。一般に言われている高血圧症は、全身性高血圧症のことで、これとは異なります。

肺高血圧症の原因とは?

肺高血圧症は様々な病気が原因で引き起こされます。

動脈管開存症・心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・ファロー四徴症のような異常な血液の通路が生まれつき存在する心臓の病気(先天性短絡心疾患)では、肺に送られる血液量が増加してしまいます。これにより、肺への血流の抵抗が高くなってしまいます。

また、左心房と左心室を隔てている弁が閉まらなくなり、血液が逆流してしまう(僧帽弁閉鎖不全症)ような左心不全においても肺に血液が滞ることで肺高血圧症となります。

気管支炎・肺炎などの慢性的な肺の病気によって、肺の血管内腔が狭くなり、肺の血圧が高くなります。

心臓や肺の病気以外にも、フィラリア症、副腎皮質機能亢進症のような内分泌系の病気、肥満なども原因となります。また、原因不明の場合もあります。

肺高血圧症の症状とは?

肺に血液を送っている右心室は高い圧力に耐えられるようにできていません。

何らかの原因で肺動脈の血圧が上がると、右心室の心筋の収縮力が低下し、拡張したままとなります (右心不全)。

このため肺へ送られる血液量が減り、体に十分な酸素を送ることができなくなり酸欠状態になります。

これにより、咳、呼吸困難、チアノーゼ、低体温、運動不耐性、失神などの症状が現れます。

同時に右心不全も起こるので、腹水や胸水の貯留もみられます。

肺高血圧症の診断・治療は?

身体検査、レントゲン、心電図、心臓のエコー検査により診断します。特に心臓のエコー検査は有用な検査となります。拡張し大きくなった右心や右心室から右心房への血液の逆流する様子が見られます。

 

原因となる病気を特定し、その治療が必要となります。それに加え、肺血管拡張薬を使って内科治療を行います。症状が出ている場合は、興奮させないようにしましょう。

 

肺高血圧症になった場合、予後は悪く、突然死の危険性もあります。

原因となる病気の治療を行い、肺高血圧症を予防することが大切です。


肺高血圧症により左心室から左心房に血液が逆流する様子が見られるエコー画像

出典:Marjolein L T, Tetyda P D, Els MB, and Chiara V. Interstitial pneumonia and pulmonary hypertension associated with suspected ehrlichiosis in a dog Acta Vet Scand.2015; 58: 46.

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