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猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)

猫エイズとは、猫後天性免疫不全症候群(猫免疫不全ウィルス感染症)といい、FIVFeline immunodeficiency virus = ネコ免疫不全ウイルス)に感染する事により、ネコが引き起こす諸症状を指します。  

 

猫エイズは感染してすぐに発病するわけではありません。FIVに感染した猫は熱が出たり、リンパ腺が腫れたり、下痢をしたり、鼻水が出たりといった症状が現れてきます。

そのような症状が数週間から数か月続きますが、この期間を経るとその後、FIVは感染猫の体内のリンパ球の中に身を潜めて潜伏状態となります。

この状態は二、三年からそれ以上、時にはその猫が寿命をまっとうするまで続く時もあります。  

やがて潜伏期間を経て、FIVは猫の体内に侵入する病原菌やウイルスなどをやっつけるT細胞を攻撃します。

免疫力が低下しだした猫は、口内炎や慢性皮膚炎、慢性の下痢などが続くようになります。

これらの症状はエイズの前段階にあたります。

その状態が一、二年続く間に免疫力が極端に低下して、ついに最終段階の「エイズ(後天性免疫不全症候群)」となります。

そうなれば、貧血も激しく、ガリガリにやせ、免疫力がほとんどなくなり、皮膚がんやリンパ球のがんなど、様々な悪性腫瘍にかかりやすくなります。

また、元気な猫には無害な、空気中を漂うカビや生活環境に常在する弱い細菌などに感染(日和見感染)し、エイズ発症後数か月ほどで死亡してしまうのです。  

FIVウイルスの主な感染経路は主に猫同士の激しいケンカなどによる咬み傷や交尾などからの感染です。感染を防ぐには何よりも室内で猫を飼うことをお勧めします。

 

症例

12歳 雄猫

症状 食欲不振、流涎、よだれに血が混じる

口腔内を調べてみると歯の周囲が赤くはれており、ところどころ出血が見られます。もともと野良ネコだったとのことなので猫免疫不全ウイルスの検査をしたところ陽性反応が出ました。

抜歯により完全な回復は見込めませんでしたが、食事もとれないような状況であったためすべての歯の抜歯を行いました。術後は多少口内炎は軽減され食事もとれるようになりましたがやはり口内炎は完全には良化しませんでした。

免疫不全ウイルスに関連した歯肉口内炎は非常に治療に対しての反応が悪く、抜歯を行ったとしても口内炎が残ることは多いとされています。一度感染するとウイルスの排除はできませんのでまず感染させないよう外猫との接触は避けることを心がけましょう。

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