股関節の形が悪いなど、股関節が原因でびっこを引くような時に適用する手術です。
獣医医療でも人間のように人工関節を用いて手術をする場合もありますが、弊害も多く、費用もそれ相応にかかります。骨頭切除術はその名のとおり大腿骨頭と呼ばれる大腿骨が腰の骨にはまり込む部分を切除する方法です。
えっ?とよくびっくりされますが、4つ足の動物にとっては、予後やその後にかかる負担などがもっとも少なくて済む手術方法です。
当院での股関節の手術は骨頭切除がメインになります。飼い主様に初めて説明をすると、大抵は信じられないという顔をされる方がほとんどですが、治癒率は極めて良好です。
腰骨から太ももの横あたりが手術の際、切開する部分となります。
大腿骨頭は太い筋肉の奥の奥にあります。筋肉に切開をいれて術部を確保するのは簡単ですが、動物のことを考え、最小限の切開に抑え、術部まで到達します。
術部に到達しました。ここから、骨頭の周りにある組織を剥離していきます。
術部の骨頭が出現しました。繊細な技術が必要ですが、熟練した執刀医であれば時間はそこまでかかりません。
骨頭の周囲にある組織をさらに剥離し、骨頭を露出させます。写真で見ている以上にミクロな動作になっています。
レントゲンの所見と合わせながら、骨頭を切除する位置を決めていきます。
位置を決めたら、サージカルブレードと呼ばれる専用のカッターで骨頭を切除します。
切除した骨頭です。これで痛い部分がなくなり、数日で歩行できるようになります。
当院の手術では、切除したあとの骨増生なども考え、ローラーを用いて切除した断面を綺麗に均します。院長曰く外科医としてのこだわりだそうです。このあと縫合して終了です。