肺腫瘍には、単独で肺にできる原発性と、他の臓器の腫瘍が転移した転移性があります。
転移性は原発性のがんの末期状態であるため治療は難しく、残念ながら予後は厳しいものの、原発性であれば大きさ次第で手術も視野に入ります。
犬や猫の肺腫瘍では咳などの呼吸器疾患が見られ、進行の早い病気であっという間に重症化するため、犬や猫に咳など疑われる症状が見られたらお早めにご来院ください。
目次
1.原因|原発性と転移性がある
2.症状|疲れやすい、咳をする、毛艶が悪くなる
3.診断|レントゲン検査で肺の影を確認
4.治療|手術では腫瘍のある肺を切除。状態によっては対症療法も
5.予防|早期発見と他のがんの予防が重要!
肺腫瘍は、肺に最初に腫瘍ができる原発性と、ほかの臓器にできた腫瘍が転移してできる転移性があります。
犬や猫では原発性よりも転移性が多く、乳腺腫瘍や骨肉腫などの骨腫瘍、メラノーマなど皮膚の腫瘍からの転移があります。
初期の頃から咳や息切れといった呼吸器症状が現れることもあれば、末期になるまで症状が見られないこともあります。
呼吸器症状は、安静にしているときよりも運動中や運動後に見られやすいので、注意して観察しましょう。
進行して全身症状が現れると、咳をしている時間が増えたり、元気や食欲がなくなったり、毛艶が悪くなったりします。
胸水が溜まると肺が十分に広げられず、呼吸はさらに苦しそうになります。
転移性の場合は、原発のがんの症状も併せて見られます。
肺腫瘍では、レントゲン検査で肺に白い影が見られます。
また、気道の分泌物や、肺の洗浄液から腫瘍細胞が観察されます。
腫瘍が小さすぎる場合はレントゲンで確認できないこともあるため、麻酔に耐えられる状態であれば、CTを行う場合もあります。
肺腫瘍は、原発性のがんの末期症状であることも多く、完治は難しいケースがほとんどです。
手術に耐えられる体力がない場合は、症状に対する治療を行い、できる限りストレスのない状態になるよう最善を尽くします。
手術を行う場合は、腫瘍のある肺葉(肺の区域)を切除する、肺葉切除術を行います。
転移などがなく、単独で発生した肺腫瘍に対しては、肺葉切除術で良好な予後が期待できますが、再発や転移の心配があるので、定期的に経過観察が必要です。
肺葉切除術は当院でも行っておりますので、肺腫瘍の手術についてご相談がある場合は、当院までご連絡ください。
残念ながら原発性の肺腫瘍を予防する方法はありませんが、転移性の肺腫瘍の原因となるがんを予防することは、転移性の肺腫瘍の予防につながります。
例えば、肺転移の多い乳腺腫瘍は、若い頃の避妊手術で予防できますので、避妊手術が間接的に肺腫瘍の予防になります。
また、どの悪性腫瘍であっても、肺に転移する末期段階に至る前に発見できれば、肺転移を防ぐことができるかもしれません。
原発性であっても、転移性であっても、肺腫瘍は治療の難しい病気です。
早期発見のためにも、定期的な健康診断を行い、咳などの症状が出たら早めに受診してください。
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