犬と猫の腎臓腫瘍には、腎細胞がん、腎芽腫、リンパ腫などがありますが、いずれも悪性です。
片方の腎臓のみの腫瘍であれば、手術で腫瘍のある方の腎臓を摘出することが、治療の第一選択となります。
進行して大きな血管を巻き込むと手術の難易度が上がるため、早期に発見することが重要です。しかし、腎臓腫瘍には特徴的な症状があまりないため、早期に発見するには定期的な検査が不可欠です。
目次
1.原因|腫瘍の発生が多い中高齢以降は注意が必要
2.症状|無症状のことも多い
3.診断|レントゲン検査や超音波検査で確認
4.治療|外科手術で腫瘍のある方の腎臓を摘出
5.予防|早期発見のための定期検査が重要!
腎臓腫瘍には特定の原因はありませんが、腎細胞がんは他の腫瘍のように、高齢で見られることが多いとされています。
一方で先天性(生まれつき)の腫瘍である腎芽腫(じんがしゅ)は若い犬でも見られ、非常に大きくなることもあります。
また、リンパ腫が腎臓にできることがあります。
飼い主様が気づく異変は、おしっこに血が混ざる、おしっこの量が増えるなどですが、こうした症状が出ないこともあります。
ほかに、元気がない、あまり食べない、痩せた、お腹が張っているなど、捉えどころのない症状が現れますが、これらの症状が見られたときにはかなり進行した状態のことがほとんどです。
骨に転移した場合は、転移した骨の場所によってふらつきや跛行(正常な歩行ができない状態)などが見られます。
腎臓腫瘍は、レントゲン検査や超音波検査で見つけられます。
疑われる場合は、CT検査を行い、さらに詳しく確認します。
腫瘍が大きくなっている場合は、触診で触ることもできます。
また、腎臓では赤血球を作るためのホルモンが分泌されていますが、腎臓腫瘍ではこのホルモンが過剰に分泌されることで、血液検査で赤血球の増加が見られることもあります。
第一選択は外科手術で、腫瘍のある方の腎臓を摘出します(腎臓摘出術)。
腎臓は左右1つずつあることから、片方の腎臓を摘出したとしても、残っている方のみでも機能するため、日常生活は問題なく送れます。
ただし、術後に転移することもあるため、手術を終えた後も、定期的に様子を見ていく必要があります。
なお、全身の状態が悪く、手術に耐えられない場合など、手術が行えないケースもあります。
また、進行して腎臓腫瘍が太い血管を巻き込んでいると、手術が難しくなります。
腎臓腫瘍には特定の原因がないため、予防は難しいでしょう。
症状からの早期発見は難しいものの、定期期な検査で早期に発見できます。
どの腫瘍でも同じことが言えますが、やはり中高齢での発生が多いため、高齢の犬猫に対しては、半年に1回は検査してあげると良いでしょう。
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<参考文献>
Baskin GB, De Paoli A. Primary renal neoplasms of the dog. Vet Pathol. 1977 Nov;14(6):591-605.
Taylor AJ, Lara-Garcia A, Benigni L. Ultrasonographic characteristics of canine renal lymphoma. Vet Radiol Ultrasound. 2014 Jul-Aug;55(4):441-6.