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犬と猫の緑内障について│治療が遅れると失明の可能性も

2023.11.20
犬の病気猫の病気

緑内障とは、眼圧が上がり視神経が障害され、視野や視力に影響が出る病気です。
犬の緑内障には原発性と他の目の病気から起こる続発性がありますが、猫ではほとんどが続発性と言われています。
治療が遅れると失明することもありますので、疑わしい症状が見られたらすぐに来院してください。
原発性は予防できませんが、続発性は目の病気を早期に治療することで予防できます。
今回は犬と猫の緑内障について解説していきます。

■目次
1.原因|原発性と続発性がある。好発犬種は要注意
2.症状|左右の目の色や大きさなど表情の変化
3.診断|眼圧測定など目の検査
4.治療|点眼治療が主。場合によっては点滴治療や外科手術も
5.予防|続発性は目の病気を早めに治療することで防げる

 

原因|原発性と続発性がある。好発犬種は要注意


角膜・水晶体・虹彩で構成されている眼球の内部は、房水と呼ばれる液体で満たされています。
緑内障では、この房水の生成と流出のバランスが崩れ、溜まりすぎた房水が眼圧を上げ、網膜や視神経に障害を及ぼします。

©️来夢来人https://www.civillink.net/fsozai/eye.html


緑内障は、
単独で発生する原発緑内障(原発性)と、他の目の病気が原因で起こる続発性緑内障(続発性)に分けられます
原発性の原因には房水の代謝異常や流出路の形成異常などがあります。

また、遺伝的な要因も考えられており、犬では柴犬、シー・ズー、コッカー・スパニエル、ビーグルなどが好発犬種として挙げられています。

続発性は、ぶどう膜炎や水晶体脱臼、目の出血、腫瘍などが原因で起こります。
進行した白内障で起こる水晶体脱臼も続発性緑内障の原因となります。

 

症状|左右の目の色や大きさなど表情の変化


緑内障には急性と慢性があり、急性は突然強い症状が出ますが、慢性の場合は徐々に進行するため変化に気づきにくいかもしれません。

症状としては充血、涙、目の不快感や痛み、左右の瞳の大きさが変わるなどがあります。
痛みは、瞬きの回数が増える、痛みのある方が半目になる、目に触られるのを嫌がるなどの症状として現れます。
さらに進行すると、緑内障の目の方が大きくなり、瞳の色が緑や赤に変化します。

視力が低下したり視野が狭まっていたりする場合は物にぶつかるなどの変化が見られますが、家の中であれば大体の場所を覚えていることもあり、飼い主さんが変化に気づくのは難しいかもしれません。

 

診断|眼圧測定など目の検査


眼圧測定により眼圧の上昇が確認されれば緑内障と診断できます
診察では、網膜の状態を確認するための眼底検査や、角膜から水晶体までを詳しく検査するスリットランプ検査なども行います。

 

治療|点眼治療が主。場合によっては点滴治療や外科手術も


眼圧を下げるために主に点眼治療を行います。ただし、状態によっては急速に眼圧を下げるべく点滴治療を行う場合もあります。
内科治療で改善が見られない場合は、外科手術が選択されます

 

予防|続発性は目の病気を早めに治療することで防げる


原発性は予防法がありませんが、続発性であれば、原因となる目の病気を早めに治療することで一定の予防効果を得られるでしょう。
治療が遅れると失明してしまうため、目の様子や表情に変化が見られた場合は、なるべく早めに連れていらしてください

 

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<参考文献>

Miller PE, Bentley E. Clinical Signs and Diagnosis of the Canine Primary Glaucomas. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2015 Nov;45(6):1183-212, vi. 

McLellan GJ, Miller PE. Feline glaucoma–a comprehensive review. Vet Ophthalmol. 2011 Sep;14 Suppl 1(Suppl 1):15-29.

 
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