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犬と猫の食道裂孔ヘルニアについて|オエッとした吐き気やよだれが多い

2023.09.22
犬の病気猫の病気

胸部と腹部を隔てる横隔膜には、大動脈と大静脈、食道が通る穴があります。

この食道が通る穴が食道裂孔で、ここに胃の一部が入り込んでしまうことを食道裂孔ヘルニアと呼びます。

症状としては、犬や猫で吐き気や嘔吐、胃液の逆流などが見られます。

若いころ無症状であっても、加齢や肥満、慢性の咳から発症する犬猫も。

手術をせずに内科的に治療を行うこともありますが、根本的な解決には手術が必要です。



目次
1.原因|先天性と後天性があり、加齢や肥満で発症することも
2.症状|吐き気、嘔吐、よだれ、食欲がない、発育が悪いなど。無症状も多い
3.診断|レントゲン検査でヘルニアを確認
4.治療|ほとんどは手術が必要
5.予防|肥満や長引く咳に注意!

原因|先天性と後天性があり、加齢や肥満で発症することも


食道裂孔ヘルニアは、犬ではほとんどが先天性(生まれつき)で1歳未満に多く、生まれつき食道裂孔が広いまたはゆるく、そこに胃が入り込んでしまうことで起こります。

短頭種はリスクが高いことが知られていて、犬ではシャーペイやフレンチ・ブルドッグなどで注意が必要です。

 

一方で猫では3歳以上の発症も多く、加齢とともに食道裂孔がゆるくなり、ヘルニアが生じると考えられています。ペルシャやヒマラヤンでは注意が必要です。

 

ヘルニア孔の大きさ次第では、胃が入り込まないこともありますが、肥満や肝臓など内臓が大きくなる病気で腹圧が高くなると、胃がヘルニア孔に押し出されて、食道裂孔ヘルニアになることもあります。

 

ほかにも、慢性的な咳で横隔膜に圧がかかり続けると、咳の勢いで胃が食道裂孔内に入り込むこともあると言われています。

 

症状|吐き気、嘔吐、よだれ、食欲がない、発育が悪いなど。無症状も多い


食べたものや胃液が逆流し、オエッと吐き気があったり、よだれが多かったりなどの症状が見られます

こうした症状に関連して、逆流性食道炎や誤嚥性肺炎に発展する危険性もあります。

 

また、子犬や子猫では、兄弟犬や兄弟猫と比べて発育が悪いケースもあります。

ただ、無症状のことも多く、健康診断で偶然に発覚する場合もあります。

 

診断|レントゲン検査でヘルニアを確認


症状から食道裂孔ヘルニアが疑われる場合は、通常のレントゲン検査や造影レントゲン検査をして、胸腔に逸脱した胃を確認します。

内視鏡で確認する場合もあります。

 

治療|ほとんどは手術が必要


内科的に逆流性食道炎の治療を行う場合もありますが、基本的には外科手術をしないと治りません

外科手術では、胃が再び食道裂孔に入り込まないように固定し、広がってゆるくなった食道裂孔を閉じて整復します。

手術がうまくいけば、その後は長く健康に過ごすことができます。

 

予防|肥満や長引く咳に注意!


先天性の場合は発生を予防することは難しいものの、程度によっては素因があったとしても発症しないケースもあります。

例えば、太らなかったり、咳が続かなかったりすれば、食道裂孔がややゆるくても胃が入り込まない可能性もあります。

肥満は万病の元でもありますので、体重管理を行うとともに、咳が出ている場合は、早めに治療してあげましょう

 

また、内科治療は症状を悪化させないことを目的としているため、完治を目指すのであれば手術が必要です。

高齢になって基礎疾患がある状態では手術に耐えられないケースもありますので、基本的には早期に発見して、早期に治療してあげると良いでしょう。

 

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<参考文献>

Phillips H, Corrie J, Engel DM, Duffy DJ, Holt DE, Kendall AR, Schmiedt CW, Vetter A, Meren IL, Follette C, Schaeffer DJ, Mayhew PD, Marks SL. Clinical findings, diagnostic test results, and treatment outcome in cats with hiatal hernia: 31 cases (1995-2018). J Vet Intern Med. 2019 Sep;33(5):1970-1976.

Callan MB, Washabau RJ, Saunders HM, Kerr L, Prymak C, Holt D. Congenital esophageal hiatal hernia in the Chinese shar-pei dog. J Vet Intern Med. 1993 Jul-Aug;7(4):210-5.

 
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