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水を飲みすぎると危険?犬の『水中毒』に注意!

2025.07.18
犬の病気

夏になると、愛犬の水分補給に気をつける飼い主様も多いと思います。熱中症予防のためにも「こまめな給水」は大切なケアのひとつです。

しかし実は、犬にとって“水の飲みすぎ”が命に関わる危険な状態を引き起こすことがある、ということはあまり知られていないかもしれません。

それが「水中毒(低ナトリウム血症)」です。特に夏は、水遊びや水分摂取量の増加などが重なりやすい時期。元気に見えていた愛犬が、突然ぐったりしてしまう…そんな事態を防ぐためにも、正しい知識を持っておくことが大切です。

今回は、水中毒の原因・症状・予防法を詳しく解説し、ご家庭で気をつけたいポイントもご紹介します。

■目次

 

水中毒ってどんな病気?


「水中毒」は、水を一気に大量に飲んでしまったことで、体内の塩分(ナトリウム)濃度が異常に低下し、体液のバランスが崩れてしまう状態を指します。

医学的には「低ナトリウム血症」と呼ばれ、人間でも起こりうる危険な病気です。
本来、ナトリウムは体の中で水分量や神経・筋肉の働きを調整する重要な役割を担っています。

しかし、大量の水を急激に飲んでしまうと、血液中のナトリウム濃度が一気に薄まり、神経や筋肉が正常に働かなくなってしまいます。

犬は人間よりも体が小さく、こうしたバランスの崩れに弱いため、短時間のうちに重症化しやすいという特徴があります。場合によっては、脳や神経に深刻な影響を及ぼし、命に関わる事態に発展することもあります。

 

どんな場面で起こりやすい?


水中毒は、特に以下のような状況で起こりやすくなります。

〈水遊び中に〉
夏場はプールや川、ホース遊びなどで愛犬が水に触れる機会が増えます。その際、興奮して遊びながら水を飲みすぎてしまうケースが多く見られます。とくに、水に浮かべたおもちゃを取るような遊びでは、口を開けたまま水に顔を突っ込むため、知らないうちに多くの水を飲んでしまうことがあります。

〈水を与えすぎたとき〉
暑さ対策として愛犬が欲しがるだけ水を与えていると、一度に大量の水を飲んでしまうことがあります。熱中症を防ごうとして逆に水中毒のリスクを高めてしまうケースもあります。

▼熱中症についてはこちらで解説しています

〈自動給水器の過信〉
給水器や自動給水機を使っていると、飼い主様が飲水量を把握しづらくなり、飲みすぎに気づきにくいことがあります。特に、留守中などは注意が必要です。

 

水中毒の主な症状とは?


水中毒は進行が早いため、初期症状を見逃さないことが重要です。

〈初期症状〉
・元気がない、ぐったりしている
・嘔吐
・ふらつきや歩行の乱れ
・そわそわして落ち着きがない

〈症状が進むと…〉
・筋肉のけいれんや硬直
・意識がもうろうとする、あるいは失う
・けいれん発作

特に、ふらつきや嘔吐、呼びかけに対する反応の低下といった症状が見られる場合には、できるだけ早く動物病院を受診してください。 そのままにしておくと、症状が進行し、重度の神経障害や命に関わる危険な状態に至る可能性があります。

 

水中毒を予防するには?


水中毒は、正しい知識とちょっとした工夫で防げる病気です。次のポイントを意識しましょう。

1.水遊びの時間と様子を管理する
プールや水辺で遊ぶときは、10〜15分ごとに休憩を取り、興奮をクールダウンさせることが大切です。遊びに夢中になっていると、水を飲みすぎていることに気づけません。

2.飲み方に注意する
飲み水を大量に入れた容器を置きっぱなしにしておくと、一度に多くの水を飲んでしまう危険があります。水分補給は「少量ずつ、こまめに」が基本です。愛犬の様子を見ながら、一度に与える水の量を調整し、こまめに補充するようにしましょう。

3.普段の飲水量を把握しておく
日頃から飲水量の目安を知っておくと、「今日はやたらと飲んでいるな」と、急な変化に気づきやすくなります。

 

水分補給の「適量」は?


犬の1日に必要な水分量は、体重1kgあたりおおよそ50〜60ml程度とされています。

たとえば体重5kgの犬なら、1日あたり約250〜300mlが目安です。ただしこの数値は、食事内容(ドライかウェットか)、気温、運動量などによって前後します。

また、「最近やたらと水を飲む」「おしっこの量が多すぎる」などが見られた場合は、他の病気(糖尿病・腎臓病など)も疑われるため、早めの受診をおすすめします。

▼糖尿病についてはこちらで解説しています

▼腎臓病についてはこちらで解説しています

 

水中毒が疑われたときの対応


万が一、水中毒が疑われる症状が出たら、すぐに以下の行動をとってください。

1.水の摂取を中止する
2.すぐに動物病院へ連絡・受診する
3.以下の情報を整理して伝える
・直前の行動(遊んでいた内容、場所)
・飲んだ水の量や時間
・症状の現れたタイミングと経過

これらの情報が、早期診断・治療の助けになります。

 

まとめ


水は、犬の命を支えるうえで欠かせないものです。しかし、与えすぎ・飲みすぎが命のリスクになることもあるという点は、意外と知られていません。

特に夏場は、水遊びや暑さ対策で水分摂取が増えやすく、思わぬタイミングで水中毒を引き起こすこともあります。

「水を飲んでいれば安心」ではなく、その量・頻度・飲み方にも目を向けていきましょう。

少しでも様子がおかしいと感じたら、迷わず獣医師にご相談ください。
当院では、飼い主様との対話を大切にしながら、最適な予防と治療をご提案しています。水分管理に不安のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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