梅雨の季節は、皮膚炎や湿疹などのトラブルに悩む犬や猫が増えてくる時期であることをご存じでしょうか?
というのも、湿度が高くなると皮膚の環境が乱れやすくなり、蒸れやすく乾きにくい状態が続くことで、皮膚炎や湿疹に加えてマラセチアというカビの一種が繁殖しやすくなるからです。
だからこそ、梅雨のように湿気の多い季節には、日頃の皮膚ケアに加えて、ちょっとした工夫を取り入れることがとても大切です。
今回は、愛犬や愛猫が健やかに梅雨を乗り切るために、飼い主様にできる皮膚ケアの方法についてご紹介します。
■目次
梅雨の時期は湿度が高くなり、それに伴って犬や猫の皮膚トラブルも増えやすくなります。
この季節に特によく見られる皮膚の病気には、マラセチア性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、指間湿疹、外耳炎などがあります。
特に、アレルギー体質の犬や猫、皮膚が弱い体質、あるいは長毛種などは皮膚トラブルを起こしやすいため、より注意が必要です。
また、垂れ耳の犬種や猫種、耳の中まで毛が密に生えている犬や猫では、皮膚病だけでなく外耳炎にもなりやすい傾向があるため、こまめなチェックが大切です。
◆マラセチア性皮膚炎
マラセチアとは、犬や猫の皮膚に常在している「真菌(カビの一種)」です。
通常は問題を引き起こすことはありませんが、梅雨のような高温多湿の環境では異常に増殖し、皮膚炎の原因になることがあります。
特に湿気がこもりやすい脇の下、股の間、顔のしわ、指の間などに発生しやすく、次のような症状が見られる場合は注意が必要です。
・皮膚の赤み
・ベタつき
・カビのような独特のにおい
▼マラセチア性皮膚炎についてはこちらで解説しています
◆脂漏性皮膚炎
皮脂の過剰分泌や皮脂の分泌バランスの乱れによって起こる皮膚炎です。
皮脂をエサとするマラセチアが繁殖しやすくなるため、脂漏性皮膚炎があるとマラセチア性皮膚炎を併発することもあります。
以下のような症状が見られる場合は、脂漏性皮膚炎の可能性があります。
・強いかゆみ
・皮膚のベタつきや乾燥
・フケが多い
・皮膚の黒ずみ
・体臭が強くなる
・部分的な脱毛
◆指間湿疹
指間湿疹は、足の指の間に発生する皮膚炎です。
この部分は蒸れやすく、マラセチアや細菌が繁殖しやすいため、症状が悪化しやすい傾向があります。
以下のようなサインが見られた場合は、指間湿疹が疑われます。
・指をしきりに舐める
・足先に触られるのを嫌がる、または痛がる
・指の間が赤く腫れている
▼指間湿疹(趾間嚢胞)についてはこちらで解説しています
◆外耳炎
耳の内側も皮膚の一部であるため、湿気がこもりやすい梅雨の時期には外耳炎にも注意が必要です。
特に耳が垂れている犬や猫、また耳の中の通気性が悪い犬や猫では、外耳炎が起こりやすい傾向があります。
以下のような様子が見られる場合は、早めに動物病院での診察を検討しましょう。
・耳を頻繁に掻く
・頭をよく振る
・耳の中から嫌なにおいがする
・耳の内側が赤くなっている
▼外耳炎についてはこちらで解説しています
梅雨のように湿度の高い日が続く時期には、犬や猫の皮膚に湿気がこもらないよう、日常の中でちょっとした工夫を取り入れてみましょう。
まず、体が濡れたままの状態は皮膚トラブルのもとになります。散歩や雨上がりに濡れたときは、湿った部分をタオルでしっかり拭き取りましょう。特に指の間は蒸れやすいため、指の間の毛が長い場合は短くカットしておくと清潔を保ちやすくなります。さらに、可能であればドライヤーの風でやさしく乾かしてあげると安心です。
また、こまめなブラッシングは被毛の通気性を高めるだけでなく、皮膚の状態をチェックする良い機会にもなります。あわせて、定期的なシャンプーで清潔を保つことも心がけましょう。
ただし、薬用シャンプーの使用を検討されている場合は、皮膚の状態によって適した種類が異なるため、事前に獣医師にご相談ください。
さらに、室内の湿度を40〜60%に保つことで、皮膚への負担を軽減できます。エアコンや除湿機を上手に活用して、犬や猫にも飼い主様にも快適な環境を整えていきましょう。
皮膚病に限らず、どのような病気でも早めの対応が大切です。多くの皮膚トラブルは、軽いうちに治療を始めることで犬や猫への負担も少なく済みます。
反対に、「もう少し様子を見てみようかな」とためらっている間に症状が進んでしまうと、犬や猫がつらい思いをするだけでなく、治療に時間がかかったり、症状が慢性化してしまったりすることもあります。
そのため、少しでも気になる変化があるときは、早めに動物病院を受診されることをおすすめしています。
特に、以下のような症状がある場合は、なるべく早く診察を受けましょう。
・皮膚が赤くただれている
・掻きこわして出血している
・においがいつもより強く感じられる
また、薬用シャンプーや塗り薬(外用薬)には多くの種類があり、それぞれ適応となる皮膚病が異なります。
「以前使って残っていたから」といった理由で、自己判断で使用するのは避けましょう。場合によっては症状を悪化させてしまうこともあるため、慎重な対応が必要です。
皮膚の状態によっては、検査が必要になることもあります。
正しい診断のもとで適切な治療を受けることが、愛犬・愛猫の健康を守る第一歩です。
犬や猫にとって、皮膚トラブルは不快でつらいものです。
特に梅雨の時期は湿度が高く、皮膚の状態が悪化しやすいため、毎年この季節は注意が必要です。
皮膚病は、放っておくと慢性化しやすく、治療に時間がかかることもあります。
だからこそ、日頃から皮膚の様子をよく観察し、少しでも異変を感じたら、早めにご相談いただくことが大切です。
日常的なケアと、早めの対応が、皮膚病から愛犬・愛猫を守る鍵になります。
「ちょっと赤いかも?」「最近よく掻いている気がする…」といった小さな変化でも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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