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秋は運動量アップ!犬猫の関節炎・筋肉トラブルを防ぐポイント

2025.09.19
犬の病気猫の病気

厳しい夏が過ぎ、朝晩の空気が少しずつ涼しくなってくると、犬や猫たちの活動量も自然と増えてきます。
「そろそろ長めのお散歩に行こうかな」「キャットタワーで遊ばせてあげようかな」そんなふうに感じる季節ですよね。

でも実は、この“運動シーズン”こそ、関節や筋肉のトラブルに注意したい時期でもあります。

夏の間に落ちた筋力や柔軟性、体重増加による負担が関節にかかり、思わぬ痛みやケガにつながることも…。
特にシニア期に差しかかっている子や、もともと関節に不安のある子は要注意です。

今回は、秋に気をつけたい関節・筋肉の病気と、日常でできる予防・早期発見のポイントについて紹介します。

■目次

 

犬猫に多い関節・筋肉の病気とは?


犬や猫は元気に見えても、関節や筋肉にトラブルを抱えていることがあります。代表的な病気は以下の通りです。

■ 変形性関節症
シニア期の犬や猫に多く見られ、関節のクッションとなる軟骨がすり減ることで、痛みや炎症が生じます。進行すると関節の変形や可動域の制限が起こり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
「散歩を嫌がる」「足を引きずる」などの行動は、関節炎のサインかもしれません。

▼変形性関節症についてはこちらで解説しています

 

■ 椎間板ヘルニア
ダックスフンドやコーギーなどの胴長短足犬種に多く、背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫することで発症します。
症状は腰の痛みだけでなく、ふらつき、歩行困難、重度になると排尿障害なども引き起こします。進行が早いケースもあるため、早めの受診が重要です。

▼椎間板ヘルニアについてはこちらで解説しています

 

■ 筋肉や靭帯の損傷
ジャンプの着地失敗やフローリングでの滑りなど、日常のちょっとした出来事でも起こります。特に中〜大型犬では、前十字靭帯断裂がよく見られ、歩行が困難になるケースもあります。軽度であれば安静やリハビリで回復することもありますが、重度の場合は手術が必要です。

▼前十字靭帯断裂についてはこちらで解説しています

 

■ 股関節形成不全
先天性で遺伝要因が関与しており、環境要因や餌なども発症に関与しているとされています。股関節がうまくかみ合わずに動くため、痛みや関節炎を引き起こします。若い頃から症状が出る場合もあり、進行すると歩行異常や慢性的な痛みにつながります。

▼股関節形成不全についてはこちらで解説しています

 

「年齢のせいかな?」「そのうち治るかも」と様子を見ていると、慢性化してしまい、痛みや不自由さを長く抱えることにもつながります。
だからこそ、「ちょっとした異変」に早く気づくことがとても大切です。

 

見逃しやすい初期症状


関節や筋肉のトラブルは、明確な症状が出る前に気づくのが難しいことも多く、犬や猫自身が「痛みを隠す」習性を持っているため、飼い主様が気づく頃には進行しているケースも少なくありません。

以下のような小さな変化は、関節や筋肉に不調があるサインかもしれません。

〈犬の場合〉
散歩中に座り込む
歩き方がぎこちない、足をかばう
階段を避けるようになる
座る・立ち上がる動作に時間がかかる
ジャンプをしなくなる

〈猫の場合〉
高い所に登らなくなる
毛づくろいの頻度が減る、届かない部位が増える
キャットタワーやソファへのジャンプを避ける

「年齢のせいかな」「寒くなってきたからかな」と思いがちな行動の変化も、実は痛みや違和感によるものかもしれません。

 

病院で行う検査


病院では、歩き方や立ち上がり方、関節の可動域などを診察しながら、痛みや違和感の有無を確認します。異常が疑われる場合には、レントゲン検査で関節や骨の変形、すり減り具合などをチェックします。さらに、必要に応じて超音波検査血液検査を併用し、筋肉や靭帯、全身の状態を総合的に評価します。

とくにシニア期の犬や猫は、症状がゆっくり進行することも多いため、年に2回の健康診断で関節や筋肉の状態をチェックしておくと安心です。

 

病院での治療方法


関節や筋肉の状態に応じて、さまざまな治療法があります。飼い主様とご相談のうえ、無理のない形で治療を進めていきます。

■ 内科的治療(薬・サプリメント)
消炎鎮痛薬炎症を抑え、痛みを和らげる
サプリメント関節の軟骨成分を補う(グルコサミン、コンドロイチンなど)

■ 外科的治療(手術)
靭帯断裂や関節の重度な変形には手術が必要な場合もあります

■ 補助的な治療(物理療法)
レーザー治療痛みの軽減や組織の回復促進
温熱療法血流を改善し、筋肉のこわばりを緩和
鍼治療・オゾン療法など体に優しい選択肢として相談可能です

どの治療を選ぶかは、愛犬・愛猫の年齢・性格・ライフスタイルをふまえて、一緒に相談しながら決めていきます。

 

関節・筋肉の病気を防ぐための日常ケア


日々のちょっとした心がけで、関節・筋肉の病気を予防できることがあります。大切な家族が長く元気でいられるよう、以下のケアを取り入れてみましょう。

■ 適正体重をキープ
体重が重くなると、関節や筋肉に大きな負担がかかります。
とくにシニア期や小型犬・猫は体重の変化がダイレクトに負担になるため、定期的な体重チェックと、バランスの取れた食事管理が重要です。

■ 滑りにくい環境を整える
フローリングなどの滑りやすい床では、踏ん張りがきかず関節を痛める原因になります。
リビングや階段、玄関などには滑り止めマットを敷いたり、段差にスロープを設置たりして足腰の負担を減らしましょう。

■ 無理のない運動習慣
急激な運動やジャンプは関節や筋肉を痛める原因になるため、年齢や体調に応じて無理のない運動量を心がけましょう。
短時間の散歩を複数回に分けたり、室内でおもちゃ遊びをしたりするのもおすすめです。

■ 関節に配慮した食事・サプリメント
関節の健康をサポートする栄養素(グルコサミン、コンドロイチンなど)を含むフードやサプリメントを取り入れることも、予防につながります。
かかりつけの獣医師と相談しながら、愛犬・愛猫に合ったものを選びましょう。

 

まとめ


夏の暑さがやわらぎ、活動しやすくなる秋。愛犬・愛猫の運動量が自然と増えるこの時期は、関節や筋肉のトラブルが起こりやすいタイミングでもあります。

症状があってからの対処では、すでに痛みが進んでいるケースも少なくありません。
だからこそ、「歩き方がいつもと違う」「階段を避けるようになった」などの小さな変化に気づいたら、できるだけ早めに動物病院でチェックを受けることが大切です。

大切なご家族が、これからも元気に過ごせるように、日々のケアと定期的なチェックを習慣にしていきましょう。

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