猫と暮らす飼い主様のなかには、「うちの子は元気だから健康診断はまだ大丈夫かな?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、毎日元気に過ごしている姿を見ると、病気の心配なんて遠く感じてしまうかもしれません。けれど私たち獣医師の現場では、“見た目は元気”な状態でも、実は病気が進行していたというケースにたびたび直面します。
そのたびに、「もっと早く気づけていたら…」という思いを抱くことも少なくありません。
だからこそ、“元気な今こそ”が健康診断の受診タイミングとして最適なのです。
今回は、猫の健康診断が必要な理由や、受けるべき頻度、主な検査内容、そして猫が通院を嫌がるときの対策まで、飼い主様が気になるポイントをわかりやすく解説します。
さらに、7月から光が丘動物病院では、猫の健康診断キャンペーンを実施します。
「今は元気」――そのタイミングでの受診が、将来の安心につながります。
▶︎ 猫の健康診断キャンペーンの詳細ページへ
■目次
猫は本能的に「弱っている姿を見せない」動物です。
そのため、元気そうに見えても、体の中で病気が進行しているケースも少なくありません。
特に注意が必要なのは、腎臓病・甲状腺機能亢進症・糖尿病などの慢性疾患です。これらは初期の段階では目立った症状がほとんどなく、飼い主様が異変に気づいた頃には、すでに進行してしまっていることもあります。
だからこそ、「元気そうに見える今」こそが、健康診断を受けるタイミングとして最適なのです。
さらに、健康なときの検査結果を記録しておくことで、今後わずかな変化にも早く気づけるようになります。
▼慢性腎臓病についてはこちらで解説しています
▼甲状腺機能亢進症についてはこちらで解説しています
▼糖尿病についてはこちらで解説しています
猫の健康診断は、年齢や体質によって適切な頻度が異なりますが、一般的な目安としては以下の通りです。
・子猫(1歳未満):ワクチンや成長に合わせた診察+必要に応じた健診
・成猫(1歳〜6歳):年1回の健康診断
・シニア猫(7歳以上):年2回(半年に1回)の健康診断がおすすめ
猫の1年は人間の約4〜5年分に相当すると言われています。
特に7歳を超える頃から、体調の変化が現れやすくなるため、最低でも年2回の健診が理想的とされています。
また、持病がある猫や過去に病気を経験した子は、よりこまめなチェックが必要です。かかりつけの獣医師と相談しながら、無理のない頻度で継続していきましょう。
まずは基本的な身体検査からスタートし、その後、必要に応じて各種検査を組み合わせて実施します。
ここでは、今回の猫キャンペーンで実施できる主な検査内容をご紹介します。
◆血液検査19項目(16項目+電解質+AST/TG)
腎臓・肝臓・膵臓などの臓器の働きを調べるための血液検査です。
体の中で異常が起きていないかを、各項目の数値をもとに総合的に判断します。
猫ちゃんはキャンペーンでは、腎機能の早期変化を捉えるSDMA(対称性ジメチルアルギニン)という項目も採用しています。
◆血球数測定検査
血液中の赤血球・白血球・血小板の数を調べる検査です。貧血の有無や、体内で炎症や感染が起きていないかを確認できます。
◆尿検査
尿の色・濃さ・pH・たんぱく・糖などを調べることで、膀胱や腎臓、代謝に関わるトラブルの有無をチェックします。
血液検査と組み合わせることで、腎臓病や糖尿病などの診断精度が高まります。
◆心疾患マーカー検査(NT-proBNP)
心臓にかかる負担を数値で評価する血液検査です。
聴診ではわからない初期の心臓病の兆候を捉えることができ、早期発見・早期治療につなげることが可能です。
◆甲状腺ホルモン検査(T4)
高齢の猫に多い甲状腺機能亢進症を調べるホルモン検査です。
代謝の異常を引き起こすため、体重減少・多飲多尿・活動量の増加などの症状が現れることがありますが、初期は気づかれにくいため健康診断での発見が大切です。
◆尿中蛋白クレアチニン比検査(UPC)
尿中のタンパクとクレアチニンの比率を調べ、腎臓からの異常なたんぱく質の漏れ(たんぱく尿)がないかを評価する検査です。
慢性腎臓病の進行度や予後の判断材料としても重要です。
これらの検査を組み合わせて実施することで、今は見えていない異常や、将来的なリスクにいち早く気づくことができます。
「うちの子、病院やキャリーを見るだけで逃げてしまうんです…」そんなお悩みを抱えている飼い主様は、とても多くいらっしゃいます。
猫はとても繊細で、環境の変化や見慣れない音・においに敏感な動物です。
そのため、キャリーに入ることや病院に行くこと自体が、大きなストレスになってしまうことも少なくありません。
ここでは、そんな猫ちゃんの負担をできるだけ軽くするために、ご自宅でできる工夫や通院時のポイントをご紹介します。
◆キャリーケースに慣れてもらう
いざ通院というときだけキャリーを出すと、「キャリー=怖いことが起きる」と学習してしまいます。
普段からキャリーをリビングなど目につく場所に置き、中に毛布やおもちゃを入れて「安心できる空間」として覚えてもらうのがおすすめです。
◆通院時のちょっとした工夫
通院時にはできるだけ静かな時間帯を選ぶのもポイントです。
例えば、平日の午前中や午後の早い時間帯は来院数が少なく、待合室も落ち着いていることが多いため、完全に緊張をなくすことは難しくても、猫ちゃんのストレスをできるだけ抑えることができます。
一方で、土日や夕方以降は他の動物の来院が重なりやすく、音やにおいなどの刺激も多くなるため、避けるのが理想的です。
また、猫用フェロモン製剤をキャリーの中にスプレーしておくと、安心感を与える効果があると言われています。
当院では、猫ちゃんの通院時のストレスをできるだけ軽減できるような様々な配慮を行っています。
「うちの子、病院が苦手だから健康診断は難しそう…」と感じている飼い主様も、ぜひ一度ご相談ください。猫ちゃんと飼い主様にとって、できるだけストレスの少ない診察体験を一緒に考えていきましょう。
▼猫をストレスなく動物病院に連れていく方法についてはこちらで解説しています
▼動物病院に行くまでの移動の間で気をつけてあげたいことについてはこちらで解説しています
健康診断のメリットは、病気の早期発見だけではありません。たとえば肥満や便秘、歯石の蓄積など、日常のちょっとした変化にも気づくことができます。
また、検査結果をもとにフードの見直しや運動の工夫など、猫との暮らし方そのものを改善するきっかけにもなります。
「まだ元気そうだから大丈夫」と思っている今こそが、最適な受診のタイミングです。
光が丘動物病院では、猫の年齢や体調に合わせて選べる3つの健康診断コースをご用意しています。いずれのコースもキャンペーン期間中(7月1日〜9月末)は特別料金で受けていただけます。
「初めての健康診断でどのコースを選べばいいか分からない…」という方も、猫ちゃんの状態に合わせてスタッフが丁寧にご案内しますので、ご安心ください。
検査内容 | ベーシックコース | 腎臓コース | 心・腎・甲状腺コース |
---|---|---|---|
血液検査19項目 (16項目+電解質+AST/TG) | ○ | ○ | |
血球数測定検査 | ○ | ○ | |
尿検査 | ○ | ||
心疾患マーカー検査 | ○ | ||
甲状腺機能検査 | ○ | ||
尿中蛋白クレアチニン比検査 | ○ |
◆ベーシックコース
比較的若く健康な猫ちゃんにおすすめです。
これからの健康管理のために、現時点での体の状態を把握しておきたい子に最適です。
◆腎臓コース
腎臓病が心配な猫ちゃんや、過去に尿の異常を指摘されたことがある子におすすめです。
腎臓の状態をより詳しくチェックする内容になっており、早期発見や経過観察に適したコースです。
◆心・腎・甲状腺コース
シニア期に入った猫ちゃんや、元気がない・体重が減ってきたといった変化が気になる子におすすめです。
猫に多く見られる心臓病・腎臓病・甲状腺疾患をまとめて確認できる、最も総合的なコースです。
期間中に健診を受けた猫ちゃんには、お得なキャンペーン特典も配布しています。
詳しい検査内容や料金、特典についてはこちらのページをご覧ください
▶︎ 猫の健康診断キャンペーンの詳細ページへ
猫はとても我慢強く、具合が悪くてもなかなか表に出しません。そのため、飼い主様が「元気そう」と思っていても、実は病気が進行しているケースもあります。
健康診断は、そのサインを見逃さないための大切な手段。そして、今の健康を“見える化”して安心を得る機会でもあります。
「行くべきか迷っている」「うちの子は病院が苦手で…」そんなお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。
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