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見えなかった「耳の奥」まで。より丁寧な外耳炎ケアへ

2025.10.27
川口グリーン

「何度も外耳炎を繰り返してしまう」「なかなか治らない」——
そんな子たちの診療を、もっと確実に、もっとわかりやすくしたい。

その思いから、当院では耳の奥を映像で確認できるオトスコープを導入しました
飼い主さまと一緒に、耳の中の状態を“見て理解できる診療”を大切にしています。

耳のトラブルはとても身近な病気です

ワンちゃん・ネコちゃんの「耳をかゆがる」「頭を振る」「耳からにおいがする」などの症状は、動物病院でもよくご相談をいただく症状のひとつです。

このような耳のトラブルの多くは「外耳炎」と呼ばれる病気で、アレルギー、耳垢、細菌や真菌(カビ)、耳ダニなど、さまざまな原因で起こります。外耳炎は一度治っても再発しやすく、慢性的に続いてしまう子も少なくありません。

▼外耳炎についてはこちらで解説しています

▼再発を繰り返す慢性難治性外耳炎についてはこちらで解説しています

治りにくい理由のひとつは、「耳の奥が見えにくいこと」

動物の耳道(耳の穴の奥)は、私たち人と違ってL字に曲がっています。そのため、外から見える範囲だけでは、奥の鼓膜付近の状態を確認することが難しいのです。

これまでの診察では、ライト付きの耳鏡で目視していましたが、耳垢や腫れが強い場合には奥まで十分に観察できないこともありました。その結果、中耳炎やポリープ、異物などが見逃されてしまうケースもあります。


▼中耳炎についてはこちらで解説しています

※コデン株式会社HPより:https://www.coden.co.jp/items/animalookal3α/


〜オトスコープ検査で「見える診療」を〜


当院では、より正確な耳の状態を確認するために、新しくデジタルオトスコープ(アニマルック3α/コデン株式会社)を導入しました。

この機器は、先端に小さなカメラと光源が付いており、耳の奥をモニター画面で拡大しながら観察できます。鼓膜や耳道の奥まで鮮明に見ることができるため、「耳の中の状態を目で見ながら診察する」ことが可能になりました。

・猫の水平耳道腫瘤による外耳道狭窄

・外傷性の耳道閉塞解除後の水平耳道と損傷した鼓膜


〜オトスコープでわかること〜

・耳垢や炎症の程度
・耳道の腫れや変形
・異物(草の種など)の有無
・鼓膜の状態(破れ・濁り)
・ポリープや腫瘤の有無

これらを確認することで、その子に合った治療方針をより丁寧に立てることができます。

また、モニターで一緒に耳の中を確認できるため、「どこが悪いのか」「どのように改善しているのか」がわかりやすく、治療に対する安心感にもつながります。

オトスコープ検査は、こんな時におすすめです

・耳をよくかゆがる、頭を振る
・耳が臭う、分泌物が多い
・繰り返し外耳炎を起こしている
・病院で洗浄しても治りが悪い

これらの症状がある場合、耳の奥までしっかり確認することが再発を防ぐ第一歩になるかもしれません。

最後に


耳のトラブルは、放っておくと痛みや聴覚への影響を伴うことがあります。早めに耳の奥まで状態を確認し、原因に合わせた治療を行うことで、ワンちゃん・ネコちゃんが快適に過ごせるようサポートいたします。

ご不安な症状がある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。


▼耳掃除のコツと注意点についてはこちらで解説しています

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